氷河期セミリタイア日記

就職氷河期世代ですが、資産運用でなんとかセミリタイアできました。残りの人生は、好きなことをしながら自由に生きていきます。

ウォーキングよりも効果的…「疲れない」のに運動強度は高く血糖値も下がる"身近な運動"

健康づくりのために、運動が必要なことは誰もが知っています。

米国スポーツ医学会は、健康づくりのための運動として「50%程度の運動強度で、1日に30分間、週に5回、または70%程度の運動強度で、1日に20分間、週に3回の有酸素運動を行う必要がある」としています。

息が切れてもう動けないというときの運動強度を100%とし、その半分が50%の運動強度だと考えてください。  

しかし、その運動時間をつくるのが難しい、という忙しい方も多いことでしょう。そこでおすすめするのが自転車を通勤や通学、買い物などに取り入れることです。  

歩行または自転車走行で1分間運動したときのエネルギー消費量を比較した結果があります。

自転車でゆっくり走ると、歩行と比べて1分間あたりの運動量は減っています。ところが、スピードを上げると、時速15キロメートル(一般的な自転車の速度)のあたりから、早歩きよりもエネルギー消費量が多くなり、時速18キロメートルでは、大きな差が出ています。

また、標準的な体力を持つ40代の女性が若干のアップダウンのある約3.8キロメートルの道のりを、とくに急ぐことなく歩行と自転車で走行した場合の心拍数の変化を比較します。所要時間は歩行で44分間、自転車で16分間です。  

歩行では大半の運動強度が50%以下なので、健康づくりにはもう少し高い運動強度がのぞまれます。

一方、自転車では大部分の走行時間で運動強度が60%を超えています。このように、自転車では推奨される「50%以上の運動強度」を、それほど無理することなく行うことができるのです。  

どちらもとくに急ぐことなく運動を行ったのに、なぜ自転車では心拍数が上昇したのでしょうか。これは自転車の場合、発進や坂道で運動強度が大きく増加するためです。実は、交差点の中央部は水がたまらないように少し高くなっています。

そのため、信号などで交差点の手前に停止すると、そのたびに発進・加速を緩い上り坂で行うことになります。日本の街中は信号機が多く、そこでの停止・発進のさいには大きな筋力を使うことになるのです。  

自転車では、運動強度を変動させるインターバル・トレーニングを自然に行うことができ、大きな力を出す筋力トレーニングの要素も含まれるため、心拍数が上昇しやすいのです。

運動強度を高めるための乗り方のコツがあります。そのさいのキーワードが「疲れない運動」です。疲労を感じないと運動した意味がないと考えがちですが、それは正しくありません。

まず、推奨するサドルの高さは、おおまかに言うと、サドルに座って脚を伸ばしたときに、つま先が地面にようやく付くくらいです。  

自転車運動の疲労度とサドルの高さについて考えていきます。疲労度を測るためには、被験者に主観的な感覚を答えてもらう方法と、疲労を測定するための生理学的な指標を用いた数値的な評価方法の2種類があります。  

この実験では、成人の男性5名、女性3名が、「推奨の高さ」と「通常の高さ」(高・低)の2つのサドル条件で、1回ずつの自転車運動を行っています。

実験には「自転車エルゴメータ」を使用しました。自転車エルゴメータは、ペダルをこぐさいの負荷を任意に変えることができます。ペダルの負荷をだんだんと重くしながら(運動強度を高くしながら)自転車運動を行う「漸増負荷運動」を行いました。

また、運動強度を高くしていきながら、最大酸素摂取量の20%になるところをI、40%をII、60%をIII、80%をIVとして4段階に分け、そのときの疲労度を測定しています。まず、「主観的な疲労度」について見ていきましょう。実験の結果、いずれの運動強度でも、サドルが高い方が主観的な疲労感は低くなるという結果が出ました

。次に、生理的な疲労について見ていきましょう。筋肉の疲労を測る目安に、血液中の「乳酸値」があります。乳酸値は高い方が筋肉が疲労していることになります。運動強度の低いI、IIでは、血液中の乳酸値はあまりかわりません。

しかし、運動強度が高くなるIII、IVでは、サドルの高さによって、乳酸値に大きな差が表れ、サドルを推奨の高さにした方が疲れにくいことが見て取れます。  

なぜ、この差が生まれるのでしょうか。サドルが低い場合、高い場合に比べてひざがより深く曲がった状態で力を入れることになります。これにより血管が圧迫されて、脚の血流が滞りやすいからだと考えられます。  

「疲れないで運動強度を高める」自転車の乗り方で、もうひとつ重要なポイントがあります。それが、ペダルの回転数です。結論からいうと、乳酸をためずに脚が疲れないようにするコツは、「軽めのギアでペダルを高回転でこぐ」ことです。

人には左右の脚を交互に動かすさいの固有のリズムがあります。そのため、とくに意識せずにペダルをこぐと、軽めのギアでも1分間に55~60回転にしかなりません。

最初は65回転を目標にしてください。慣れてきたら、1分間に70~75回転を目指しましょう。  

ペダリング技術に長けたサイクリストたちは、1分間のペダル回転数が90回以上という高速回転を好みます。

これはエネルギー消費量が少なくなるからだと以前は考えられていました。しかし私たちの実験結果は、エネルギー消費量がもっとも少なくなるのは1分間に70回転、筋放電量増加率(*値が小さいほど乳酸がたまらず脚が疲労しにくい状態だと考えられる)がもっとも小さくなるのは80~90回転でした。  

サイクリストはエネルギー消費量よりも脚が疲労しにくいことを優先して、ギアの重さとペダル回転数を選んでいるようです。80~90回転という高速回転により、筋放電量増加率は最も低くなって脚は疲労しにくくなり、酸素消費量は上昇して心拍数が上がり運動強度は高くなっています。

サイクリストたちは、まさに「疲れないで運動強度を高める」自転車の乗り方を実践しているのです。歩行と自転車の糖代謝に対する効果を比較してみましょう。

有酸素性のエネルギー代謝では、糖質や脂質が酸素と反応して二酸化炭素と水ができます。安静時には糖質と脂質は同じくらいの比率で使われていますが、運動を始めてその強度が強くなるにつれて糖質が使われる比率が高くなります。

糖質と脂質がどれくらいの割合でエネルギー源として使われているかは、呼吸で排出された二酸化炭素と吸収された酸素の体積比で知ることができます。その比を「呼吸商」と呼びます。  

同じ強度の運動をした場合に、歩行と自転車運動では、どちらの方が糖を使う割合が高くなるのでしょうか。私たちは、糖尿病患者9名と健康な成人10名にご協力いただき、実験室で歩行と自転車運動を行ったときの呼吸商を測定しました。

すると、糖尿病患者と健康な成人のどちらのグループも、いずれの運動強度でも、歩行より自転車運動の方が呼吸商の数値が高くなりました。この結果は、同じ運動強度では、歩行よりも自転車運動の方が糖をたくさん消費して血糖値を下げる効果があることを示しています。

それを確かめるために、7名の成人男女に同じ心拍数になるように10分間の歩行と自転車運動を行っていただき、運動前後の血糖値を測定しました。

すると歩行では、7名平均の血糖値が運動の前後で約12.0(mg/dL)分減少したのに対して、自転車運動では約16.4(mg/dL)分の減少が見られました。  

同じ運動強度なのに、なぜ自転車運動は歩行よりも糖の消費が多くなり血糖値が下がったのでしょうか。40%の運動強度で歩行と自転車運動をしたときの糖代謝をPET(陽電子放射断層撮影)で捉えた画像では、歩行はあまり糖代謝が活発なところが見あたらないのに対して、自転車運動では太ももでたくさん糖が使われています。

歩行では使う筋肉が分散することで糖代謝がそれほど活性化しないのに対して、自転車運動では太ももの筋肉が集中的に使われることで糖代謝の活性化が進み、糖をたくさん消費して血糖値が下がるのだと考えられます。

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