氷河期セミリタイア日記

就職氷河期世代ですが、資産運用でなんとかセミリタイアできました。残りの人生は、好きなことをしながら自由に生きていきます。

中国経済の「時限爆弾」はまもなくはじける

2023年8月17日、中国の不動産大手である恒大集団は、ニューヨークで破産を申請、マンハッタン地区連邦破産裁判所に連邦破産法15条の適用を求めました。

同法が適用されれば、米国内の資産の強制的な差し押さえなどを回避できます。

同時に米国外では再建計画を進めることになります。  

2022年3月21日には株式の売買が停止。2023年7月17日には会計帳簿を公開し、2021年と2022年の2年間で赤字は8120億元(約16兆2000億円)を超えたことが明らかにされていました。

今回の破綻は時間の問題で、まさにファイナル・カウントダウンに突入していたのです。  

恒大集団の破産申請の影響は大きく、他の不動産大手の連鎖的な破綻を招くのは確実な情勢だ。業界最大手の碧桂園(カントリーガーデン)や遠洋集団控股も大きな赤字を抱えており、デフォルトの危機を迎えています。

破産を申請した中国恒大だけで48兆円もの負債額で、当然のことながら外貨建て債務の再編計画の合意取り付けに時間がかかっており、再建は容易ではありません。

そして、恒大―碧桂園―遠洋と続く不動産大手の危機は、地方政府、保険、年金、信託、銀行へと波及し始めています。

これまでデベロッパーの問題にすぎなかったものが、地方政府や年金保険などのセクターにリスクが拡大しています。  

地方政府の「隠れ債務問題」も表に出てきており、2000兆円あまりの簿外債務が大きな問題になっています。

これはサブプライムSIV(ストラクチャード・インベストメント・ビークル)(※)を利用した債務の簿外化と同じで、デフォルトするとそれが地方政府の債務です。

この時限爆弾をリセットすることは、もはや不可能な段階になっているのです。  

※リスクの高い証券化商品などを連結決算外で運用する目的で、大手金融機関やヘッジファンドが傘下に設立する特別目的会社(SPC)

どんなに額面資産があっても、実際にカネが動かせなければ債務は返済できません。

国内向けは何とかなっても、海外向けは誤魔化しがきかないのです。  

中国恒大などデベロッパーの外貨建て債券のデフォルトが始まっていた状況から、中国政府は価格統制の緩和を行ない、債券売買が成立する環境をつくったが、それでも買い手がいません。

特に碧桂園は米ドル建て債券の利払いの履行が危ぶまれるほど財務状態が悪化しており、他のデベロッパーも似た状態にあります。

当然、そこにかかわる建設業者や資材納入企業にもその影響は及びます。  

破産申請前の中国恒大だけで、債務履行などに関する訴訟が6兆円規模に達していました。

それだけ手形が落ちなかった人がいるということで、もし、裏書(一種の連帯保証)していれば、裏書人に支払い責任が生じます。  

また、企業間で支払いのために手形をキャッチボールしているものと思われ、どこかが飛べばその裏書人も連鎖して“飛ぶ”ことになります。

これは日本のバブル崩壊時によく見られた現象で、2024年以降も「恒大ショック」の影響は多方面に及ぶでしょう。 

鉄鋼やコンクリートをはじめとした資材関連産業、住宅設備産業などに直接的な影響を与えることは必至で、失業者の増加と実体経済のさらなる悪化を招きます。

中国の経済指標のマイナス、特に企業物価の下落はこれに起因し、当然、銀行の企業向け貸し出しにも大きな影響を与えます。

当局が公表している中国の6月末の総融資残高は銀行系が230兆元(約4600兆円)、ノンバンク系が134兆元(約2700兆円)、合計で7300兆円規模となっています。  

しかし、銀行の資産は確認できても、4割近くを占めるノンバンクの資産は把握しきれないのです。

さらに、企業間や個人間の融資などシャドーバンキングも存在するわけで、それを入れると総融資残高はどこまで膨れ上がるのか見当がつかないほどです。  

中国の最大の問題は、政治面にしても経済面にしても都合の悪い事実は政府(中央、地方ともに)が覆い隠すので、問題の大きさや事態の深刻さが正確に把握できない点にあります。政府発表の数値とて、果たしてどこまで信用していいのかという危惧は残るのです。  

「白髪三千丈」の国が、実際に成長が鈍っていることを示す数値を出してきたということは、実態はさらに悪いのではないかと考えたほうがよさそうです。

経済崩壊が目の前に迫る状況下、中央政府が地方政府の実態すらも把握できていないことがさらに問題です。

各地方政府は中央政府向けに数字をつくり、中央政府はそれを合算し、さらに都合よく数字をつくる。粉飾企業の末期と同じ状態です。  

総融資残高など、この時の発表の内容はある程度予想されたものでしたが、ある事実が「発表されなかった」ことで、かえって社会不安を搔き立てることになりました。  

中国国家統計局が若年層失業率の公表を取りやめたのです。  

政府が経済指標の発表の場で、測定方法の改善を理由に重要な指標の公表の一時停止を伝えるという事態は、いかにも中国的です。

まともな企業は、中国を信用して取引をしたら痛い目に遭うに違いないと考えるはずです。

それでも公表しないことにしたのは、要するに、国家としての信頼を失ってでも、「言わぬが花」なのでしょう。 

中国の若者の失業率は、現在は20%程度の高水準を続けていると言われます。

公表の取りやめは、その実態を隠す目的なのは間違いのないところです。

以前から若年層の完全失業率(1週間に1時間でも働けば除外)が20%を超えており、2023年6月の公式統計では過去最高の21.3%となっていました。  

もっとも、これは就職活動をしている人を対象にした数字にすぎません。

北京大学の張丹副教授は独立系メディア「財新」のオンライン記事で、就職活動をせず親の扶養の下にある若者1600万人を含めれば、若年層失業率は46.5%に達する可能性があると指摘する記事を、7月17日に公開しました。  

じつに若者の2人に1人は職がないという衝撃の事実を示唆する説です。

そしてこの記事はその後、削除された。新たに高校・大学を6月に卒業した若者たちのうち、1500万人ぐらいが新たな求職者として積み増しされるという予想もあったからかもしれません。  

こうした状況を考えれば、中国国家統計局の公表取りやめは、起こるべくして起きたと言っていいのです。  

すでに現場ではホワイトカラーの賃下げが本格化したとされます。

若年層の実質失業率46%という状態では当たり前と言えますが、内需が低迷する中で「高学歴人材」すら余剰人員となっています。

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