氷河期セミリタイア日記

就職氷河期世代ですが、資産運用でなんとかセミリタイアできました。残りの人生は、好きなことをしながら自由に生きていきます。

フリーランス限定、「年81万6,000円」が全額所得控除…お金が「実質150%」に増えることもある

個人事業主公的年金国民年金)は、老後に受給できる年金額が、会社員・公務員の「厚生年金」よりも低くなっています。そこで、年金だけで足りない分については自分で補う必要があります。

そのために、まず活用を検討すべきなのは、税制優遇を受けながら効率よくお金を貯められる制度です。

個人事業主のみ利用できる「国民年金基金」について紹介します。

 国民年金基金は、個人事業主が税制優遇を受けながら自分で年金を準備する「私的年金」の一種です。 個人事業主しか加入できず、会社員・公務員は対象外です。

その理由は、国民年金基金個人事業主にとって、会社員・公務員の厚生年金の「2階部分」に代わる制度として用意されたものだからです。

すなわち、会社員・公務員が加入する厚生年金には1階部分の「基礎年金」に加え「2階部分」の「厚生年金」があります。これに対し、自営業・フリーランスが加入する「国民年金」は1階部分(基礎年金)しかなく「2階部分」がありません。

そこで、個人事業向けの「2階部分」に相当する制度として、国民年金基金が設けられたのです。1991年4月から施行されました。

現在、国民年金基金には「全国国民年金基金」と「職能型国民年金基金」の2種類がありますが、事業内容はまったく同じです。

国民年金基金に加入できるのは、20歳~59歳の「国民年金の第1号被保険者」(自営業、フリーランス等)と「任意加入者」です。ただし、以下の人を除きます。

国民年金の保険料の免除を受けている(産前・産後期間の免除等を除く)

・農業者年金の被保険者である

国民年金基金では、以下のように、掛金を支払うときと、年金を受給するときに、それぞれ税制メリットを受けることができます。

・掛金支払時:全額が所得控除(社会保険料控除)の対象になる

・年金受給時:公的年金等控除の対象となる

掛金は「iDeCoと合算して月68,000円」を上限として設定でき、全額が所得控除(社会保険料控除)の対象となります。

つまり年間最大81万6,000円が全額所得控除となるのです。しかも、自分だけでなく、生計を同じくする配偶者等の親族の分についても所得控除を受けられます。

これによって、課税されるタイミングを、年金を受給するときまで繰り延べることができます。

 次に、年金を受給するときも税制優遇を受けられます。すなわち、受け取った年金は「雑所得」として所得税・住民税の課税対象ですが、「公的年金等控除」を受けることによって税負担が軽くなります。

公的年金等控除の額は、他の所得の額に応じて細かく定められています。

このように、国民年金基金に加入すると、掛金支払時は全額所得控除になり、年金受給時には「公的年金等控除」を受けられるので、税負担が大きく抑えられるということです。

国民年金基金のプランは「終身年金」2種類と「確定年金」5種類です。

1口目は必ず「終身年金」から選び、2口目から「終身年金」「確定年金」の好きなプランを選ぶしくみになっています。

「終身年金」と「確定年金」の違いは、年金を受給できる「期間」の違いです。 「終身年金」は65歳から一生涯年金を受給できます。

一方、「確定年金」は決まった期間のみ年金を受給できるものです。「年金」の額は「1口」ごとに決まっています。

また、「掛金」の額は「性別」と「加入時の満年齢」によって決まっています。 前述のように、掛金の上限はiDeCoと合算して月6万8,000円までです。

また、「確定年金」の年金額は「終身年金」の年金額を超えてはならないという縛りがあります。 以下、「終身年金」「確定年金」のそれぞれのプランの概要を紹介します。

まず、終身年金のプランは「A型」と「B型」の2種類あり、それぞれ以下の通りです。 【終身年金のプラン】

・終身年金A型:65歳~80歳の15年分が保証される・掛金が割高

・終身年金B型:受取期間の保証なし・掛金が割安

「終身年金A型」は、本人が80歳より前に亡くなった場合も、遺族が80歳までの分の年金を引き継いで受給できます。

65歳~80歳の15年分が「保証」されているということです。その代わりに掛金は割高です。

これに対し、「終身年金B型」は「A型」のような保証がない代わりに掛金が割安です。

次に、確定年金には「1型」~「5型」の5種類がありです。年金を受給できる期間が確定しており、その期間中に本人が亡くなっても遺族が代わって受給することができます。 「1型」~「5型」の内容はそれぞれ以下の通りです。

・確定年金1型:65歳~80歳の15年間保証

・確定年金2型:65歳~75歳の10年間保証

・確定年金3型:60歳~75歳の15年間保証

・確定年金4型:60歳~70歳の10年間保証

・確定年金5型:60歳~65歳の5年間保証

国民年金基金に加入するとどれくらい得をするのでしょうか。

「男性・35歳1ヵ月・年収600万円」のシミュレーションをご覧ください。

【プラン例】 ・1口目:「終身年金A型」(掛金月額1万140円・年金月額1万5,000円) ・2口目~6口目(5口):「終身年金A型」(掛金月額1万6,900円・年金月額2万5,000円) ・7口目~12口目(6口):「確定年金1型」(掛金月額合計1万4,280円・年金月額3万円)

まず、節税効果を加味しなくても、単純に、銀行に預けておくよりもお金が増えるという効果があります。 掛金は月額合計4万1,320円(年間合計49万5,840円)であり、60歳になる前月まで24年11ヵ月間加入すると総額1,235万4,680円となります。

これに対し、80歳までの年金額は15年間で総額1,317万3,000円なので、掛金総額より約6.6%増える計算になります。わが国では超低金利が続いており、銀行に預けておいてもお金は増えないので、これだけでも大きなメリットです。

なお、金利が変動した場合には、それに合わせて国民年金基金の利率が見直されることになっています。したがって、金利が上がった場合には利率も上がることになります。

それに加え、さらに税制優遇を受けることができます。 まず、掛金年間合計49万5,840円について、全額所得控除を受けることができます(社会保険料控除)。

仮に、60歳になる前月までずっと年収が600万円だったとすると、所得税・住民税の負担は年間15万0,834円軽減されます(所得税は復興特別所得税を含み、住民税は10%として計算)。

これを考慮に入れれば、年間の掛金は実質的に34万5,006円、24年11ヵ月の掛金総額は859万6,399円ということになります。これに対し、80歳までの年金総額は1,317万3,000円です(本人が80歳になる前に亡くなったら相続人が引き継ぐことができます)。

したがって、税制優遇の効果を加味すると、何もしない場合と比べて約150%に増えるのと同じ計算になります。

このように、国民年金基金は、掛金が全額所得控除になるなどの税制優遇を受けられるうえ、お金も増えるので、効率よく「プラスα」の年金を準備することができます。

iDeCo(個人型確定拠出年金)」や「小規模企業共済」といった制度と比較して、あるいは組み合わせる手段として、活用を検討することをおすすめします。

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