氷河期セミリタイア日記

就職氷河期世代ですが、資産運用でなんとかセミリタイアできました。残りの人生は、好きなことをしながら自由に生きていきます。

次々に発売される超高額マンションは、誰が買っているのか?

 マンション価格が、高騰しているという話題が出てから、もうずいぶんになります。 どのくらいになるかといえば、首都圏1都3県のマンションマーケットでいえば、2013年以降、特に値上がりが激しくなっています。

新築マンションを購入するハードルはどんどん上がっています。 2007年、首都圏における新築マンションの平均価格は一戸あたり4644万円でした。

年によって供給されるマンションの住戸面積が異なるので、㎡単価でみれば1㎡あたり61万4000円です。 15年後の2022年は、平均価格が6288万円、㎡単価は95万1000円です。

なんと平均価格で35.4%、㎡単価で54.9%もの大幅な値上がりです。 マンションといえば、累計戸数685万戸(2021年)で一般の国民が住むごく普通の住居形態です。 このマンションを買う側の国民のふところは、この間で収入が増えたのでしょうか。

答えは残念ながら、いいえです。 この間の世帯年収をみると、たとえば2007年と18年の比較で、世帯年収は、平均所得で556万円から552万円、中央値で448万円から437万円と、むしろ下がってます。

一般国民にとって、新築マンションを購入するハードルは、どんどん上がっていると言ってよいでしょう。

もちろん、2013年以降のアベノミクスと呼ばれた一連の政策によって、低金利が継続されたこと、住宅購入に伴う様々な税務上の優遇などが施されたことは、この間のマンション価格の値上がりに、ある程度の対応が行われたともいえますが、約55%もの値上がりを吸収したものとはとても言えないでしょう。

それどころか、新築マンション価格はここにきて臨界点を超えて、さらに新しい領域に来ているのです。

新築マンション販売価格、1戸で55億円!、世間を騒がせたのが、2017年4月に分譲されたパークマンション檜町公園です。

これは六本木ミッドタウン近く、六本木4丁目において三井不動産レジデンシャルが販売したマンションで、最高価格を付けた住戸は、地上7階建ての最上階、住戸面積580㎡(176坪)の住戸です。 坪当たりに直すと、3129万円という天文学的な価格です。

購入者は報道などによれば、香港系の財閥だといいます。

このマンションはタワマンではない低層マンションですが、非常に防犯性が高く、各フロア2住戸に1台のエレベーターが設置されています。

所謂2戸あたり1つのエレベータと呼ばれる方式は珍しいものではありませんが、エレベーターには向かい合わせに2つ扉があり、各住戸ごとに独立したエレベーターホールがあります。

つまり、エレベーター待ちで他の住戸の住民と一緒になることがありません。 地下の駐車スペースからホールを経て、そのまま住戸にアクセスできるのが売りです。 またコンシェルジュやドアマン、ポーターなど人的サービスはてんこ盛りです。

まるで高級ホテルに滞在するかのごときサービスがついてきます。 この日本最高値ともいえるマンションを上回ったのが、21年4月に分譲されたマークおもてさんどうONEというマンションです。

Falcon ホールディングスという特定目的会社が売主で、公に広く売り出されたわけではありませんが、最高価格の住戸は面積626.93㎡、189坪で、67億6000万円、坪当たり3500万円です。

さて、今年はさらにこの記録を塗り替える可能性が出てきました。 森ビルが事業主で今年建物竣工オープンを迎える虎ノ門・麻布台プロジェクトでお目見えするアマンレジデンス東京です。

超高級ホテルの代名詞ともいえる、アマンによる各種サービスがつく超高級ブランデッドマンションです。 64階だての建物は出来上がれば、高さ330mと日本最高層の建物となりますが、54階から64階に91戸のマンションが誕生します。

販売にあたっては、価格などの情報は公開されておらず、相対での販売になるとのことですが、最高価格が1500㎡、453坪で、2億ドル、280億円から300億円と噂されています。 この物件については、誰が買うのか?です。

ちまたではソフトバンクのそんさんや、サイバーエージェントの藤田さんなどの名前は上がりますが、実際はどうかわからない金持ち=彼らくらいの感覚で、噂になっているものとみられます。

実際には外国人富裕層や外資系法人、IT系の起業家などが想定されるでしょう。 海外でもそんなに高いマンションはあるのかといわれますが、ニューヨークやモナコなどではいっこ当たり300億円から500億円のマンションは存在します。

それにしてもかなり高い水準であることは間違いありません。 この物件の去就はともかく、時代は新たな高みを目指しているようです。

以前は超高級マンションといえば、いわゆる「億ション」でした。 ところが今や、億ションは普通のマンションに成り下がっています。 業界では超高級マンションといえば最近では「4億ション」というらしいのです。

つまり販売価格で、4億円は超えてこないと超高級マンションとは呼ばないのだそうです。 たしかに東京の赤坂や六本木などで、最近販売されるマンションでは、価格が4億円を超える住戸は珍しくありません。

そして今、業界で新たに話題になっているのが、港区三田1丁目で三井不動産レジデンシャルと、三菱地所レジデンスが共同開発する三田ガーデンヒルズです。 このマンションは、25年3月に引き渡し予定の、総戸数1002戸の巨大プロジェクトですが、タワマンではなく地上14階だてのマンション2棟です。

住戸面積は29.34㎡から376.50㎡ですが、平均坪当たり単価は1300万円です。 アマンレジデンスの価格と比べれば、なにやらかわいらしくうつりますが、価格ひょうをみると、85㎡、25.7坪3LDKで3億3000万円です。 面積が広い住戸は立派な、4億ションなのです。 到底、一般国民が買うことができるレベルではもちろんありません。

このマンションにもコンシェルジュやポーター、ドアマンがつき、バトラーサービス、執事、バレーサービス、キー預かり駐車代行などのサービス機能が満載、ワークスペースやプール、ジム、フィットネスなど多彩な共用施設を楽しむことができます。

こうした動きを見るにつけ、つくづく思うのは、もはやデベロッパーは一般国民などを相手にしたビジネスはしていないということです。 よいことにせよ、悪いことにせよ、日本人の二極化は進行するいっぽうです。

部厚かった中間層は崩壊し、少数の富裕層と、大多数の貧困層に分断されていく日本で、誰を相手に商売をすればよいのかは彼らにとっては明らかなのです。

映画にもなった「とんで埼玉」という作品の中で、 「埼玉県人には、そこらへんの草でも食わせておけ!」 という有名なセリフがありますが、これを埼玉県人ではなく、一般国民に言い換えられる時代が迫っているのかもしれません。

デベロッパーは上級国民様に、彼らが満足するような超高級マンションを提供して、機嫌を取ることに忙しく、草でも食わせておけばよいと、貧乏な一般国民を相手にすることに興味を失っているのです。

超高級マンションは、富裕層のおもちゃとして、さらに磨きがかかった領域に入っていくでしょう。

たかが建物であり、経年劣化していくものに大枚をはたき、自分たちにかしづくサーバントたちに、虚栄心をくすぐられるにしかすぎないのでしょうが、人類はどの時代になっても本質は変わらないのです。

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