氷河期セミリタイア日記

就職氷河期世代ですが、資産運用でなんとかセミリタイアできました。残りの人生は、好きなことをしながら自由に生きていきます。

驚愕の感染力「はしか」40歳働き盛りが1番危ない

東京都で3年ぶりに2人、茨城県で4年ぶりに1人、「はしか」(麻疹)患者が確認されました。4月に茨城県の30代男性がインドからウイルスを持ち帰り、発症数日前に新幹線に乗車、東京都の30代女性と40代男性に感染拡大したといいます。

ここ数年、新型コロナの世界的流行で感染予防策が徹底され、行動自粛もあいまって多くの感染症が息を潜めていましたが、ポストコロナ突入とともに再燃してくることも、目に見えていたのです。

はしかは赤ちゃんや子供の病気と考えられがちですが、今このタイミングで用心しないといけないのが、40歳前後、働き盛りの人たちです。

現在34~49歳に「はしか免疫がない人」が多く、その年代は、はしかの抗体価が十分でなく、なおかつ通勤や人との交流を本格的に再開した人が多いのです。

2021年度の国立感染症研究所の調査で、当時38歳(=現40歳)の人たちの抗体保有率は93.9%でした。

 

 

これは68歳未満の成人では最低の数字で、免疫が弱まってきているはずの50~60代をも下回った(50代以上のほとんどは自然感染によって、予防接種よりも持続性の高い強固な免疫を獲得している)。

はしかは、適切な予防接種によって防ぐことができる。ただし感染拡大を押しとどめるには、社会全体で95%の人が十分な免疫を持っていることが必要です。

50歳以下なら確かにはしかの定期接種は導入されていましたが、現在24~49歳の人が受けた当時の定期接種は、まだ1回接種だったことです。

アメリカ疾病予防管理センター(CDC)によれば、はしかの場合、1回接種で93~98%の人が免疫を獲得できます。

一見、十分にも見えるが、平均で約95%と考えると、20人に1人は免疫がつかないのです。

打った人だけ集めてその数字ですから、1回接種世代の全体で見たら、免疫を持っていない人はもっと多いんです。

打っていない人もいるし、打った当時に得た免疫が加齢ですでに減弱している人も少なくありません。

実際、2007年には首都圏で当時の大学生(1回接種世代)を中心に、はしかが大流行してしまいました。

結果、海外にも飛び火し、日本は「はしか輸出国」として世界から非難される事態となったのです。

厚生労働省はあわてて定期接種を見直し、2000年生まれ以降は2回接種とし、1990年代生まれの人たち(当時中高生)には2008年から5年間の追加接種措置を設けました。

2回接種すると、99%の人が免疫を獲得できるとされます。

ところがこの時、現在34~49歳の人たちは追加接種対象とはならず、新幹線報道の3人も、ちょうどこの世代です。日本の対はしか防衛上、もっとも手薄な部分でしょう。

免疫保有者が9割超えでもまだ足りないのは、ひとえにはしかウイルス(麻疹ウイルス)の感染力が地上最強レベルだからです。

はしかは「空気感染」で、1人の感染者から12~18人に感染が広がります。インフルエンザで2~3人、新型コロナ初期のダイヤモンド・プリンセス号の事例でも2.28人と計算されているから、麻疹ウイルスの感染力の高さはいわば規格外です。

飛沫感染と違って、マスクは何の役にも立たず、はしか患者と同じ空間にいた人が20分たたずにうつってしまった事例もあります。

患者の呼気から空気中に放出され、感染力を保って2時間漂う、またドアノブでも数時間生き残るとされています。

通勤電車内に1人でもはしか患者がいたら、新幹線どころの騒ぎでは済まないでしょう。

感染すると症状が出ずに済む人はごく少なく、9割以上が10~12日たってから発症します。

しかも発症の1日前(発疹の3~5日前)から、周囲の人にうつり始めるのでやっかいです。

最初は風邪に似た症状で、38℃くらいの発熱や咳、鼻水が2~3日続き、よく見れば口の中に白い発疹が出るものの、それに気づかなければ、はしかとの診断は難しいです。

その後、一瞬熱がやや下がり、再び39℃以上となり全身の皮膚にポツポツとした発疹が現れる。肺炎や中耳炎、心筋炎なども合併しやすいのです。

 

 

周囲ではやっていると、ここでようやくはしかを疑う場合が多いが、すでに多くの人に感染させている。発疹から4~5日目くらいまでは、人にうつし続けます。

また2019年には、「はしかにかかると、さまざまなウイルスや細菌に対する免疫システムまで破壊されてしまう」という衝撃的な研究結果を、ハーバード大学が『Science』誌に発表しました。

せっかく過去に獲得した、インフルエンザや水痘(みずぼうそう、帯状疱疹)のウイルス、肺炎や皮膚感染症を引き起こす細菌などに対する抗体が、一気に11~73%も失われてしまうといいます。

さらに恐ろしいのが、「亜急性硬化性全脳炎」(SSPE)と呼ばれる脳炎です。いったん治ったように見える患者の数万人に1人は、脳内に麻疹ウイルスが潜み続け、5~10年かけてゆっくりと炎症が進行します。

治療法はなく、難病指定されていて、最終的には死に至ります。

2歳未満、とくにワクチン接種前の1歳未満ではしかに罹った場合に起きやすいとされています。

というわけで、はしかは「なんてことない」と言える要素が皆無なので、全力で回避するしかありません。

個人的な予防には限界があるので、流行そのものを起こさないことで、免疫のない人を守っていくしかないのです。

麻疹単体のワクチンの他、麻疹風疹混合ワクチン(MRワクチン)があり、今は後者が主流です。

いずれも成人は自費だが、実は中高年男性の場合、条件をクリアすればMRワクチンを無料で打てる人もいます。

胎児に難聴を引き起こす「先天性風疹症候群」予防のため、国として風疹対策に力を入れているからです。

厚労省は、風疹ワクチンの定期接種が女性限定だった世代、つまり1962年4月2日~1979年4月1日生まれの男性約1500万人に対し、抗体検査を無料で行い、十分な免疫のない人にはワクチン接種も無料で実施しています。

風疹単体のワクチンはもう国内製造されていないので、該当すればMRワクチンを接種します。

要するに、風疹クーポンを使って検査し陰性だった人は、はしかの予防接種も無料で受けられる、ということです。

 

 

だが、医療機関でまず抗体価を調べ、低かった人だけがワクチンを打てるとなると、2回以上医療機関を受診しないといけません。

忙しい現代人には“タイパ”が悪すぎて、接種は想定通り進んでいないようです。

対象年代で接種歴が明らかでない人には、検査なしに無料接種を実施すればいいのですが、免疫のある人に打っても何のデメリットもないし、感染が広がった場合の社会全体の損失を考えれば、接種費用のほうがずっと安くつくに違いないからです。

あるいは自費接種だとMRワクチンは1回1万円弱かかります。

ただ、国内にいる限り、はしかにしても風疹にしても、そこまでの危機感はないのが普通です。

特にはしかについては2015年、日本は世界保健機関(WHO)から「排除国」に認定され、国内で感染・流行が自然発生することがなくなったことを意味します。

しかし一歩日本から出ると、状況は大きく違い、WHOによれば2023年5月現在、世界194カ国・地域のうち少なくとも106カ国で、流行はずっと続いています。

アフリカやアジアでは猛威を振るっているし、ヨーロッパでも半数近い国で流行中です。

ここ数年は、新型コロナのパンデミックで世界的に人の動きが止まり、流行国から排除国へのウイルス持ち込みも止まっていましたが、これからはそうはいきません。

特に、インドやイギリスと行き来がある人や、その周囲の人は、具体的に用心したほうがよさそうです。

新幹線のケースで印象付いてしまったインドだが、実際、アメリカCDCが発表している患者数ワーストランキング(2022年10月~2023年3月)では断トツです。

2位の9倍にあたる6万8473例が報告されています。

イギリスも今まさに感染者が増加中で、昨年の年間患者数は54例だったが、今年は4月20日には49例に到達、その3分の2がロンドン地区です。

コロナ前の2019年には880人の感染者が確認され、英国健康安保障局(UKHSA)は再び警戒を強めています。

はしかの感染源は「ヒト」のみで、感染者がいなければ、感染は起きません。

自分が感染源にならないためにも、海外との交流の多い人は、自費接種のコスパをよく検討してみるべきでしょう。

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