氷河期セミリタイア日記

就職氷河期世代ですが、資産運用でなんとかセミリタイアできました。残りの人生は、好きなことをしながら自由に生きていきます。

損することを嫌う心理がさらなる損を招く

株価が下がると、このまま下がり続けたらどうしよう、という不安が大きくなります。この心理は初心者でも経験豊富な個人投資家でも変わりません。

どんな相場でも勝ち続けるためには、投資スキルや情報よりも、メンタルが重要です。

投資家は負けが込んでくると、ついマーケットを打ち負かしてやりたい、などといった誤った行動をし始めます。

「損失回避性バイアス」によって、心を制御できずに、そうした行動を誘発してしまうわけです。

損失回避性バイアスは、行動経済学の中で最も有名な理論の1つです。人は損をすることを異常に嫌う、という心理を説明したものです。

 

 

損することが好きな人など、この世の中にはほとんどいません。

その結果、利益が出ている局面では確実に利益を積み上げていくことを好み、損失が出ている局面ではロスカットを遠ざけたり、逆にナンピンなど大きな賭けに出ようとする傾向が強くなります。

たとえば、順調なうちは堅実に小さく投資をして、着実に利益を積み上げていたとします。

しかし、一度大きく損をしてしまうと、その損失を取り戻そうと、普段慎重な人でも信じられないような大胆な行動で一か八かの賭けに出やすくなります。

「価値関数」というグラフを見ると、このことがよくわかります。このグラフの縦軸は心理的価値、つまり上に行くほどに「うれしい」「楽しい」という満足の感情を表しています。

一方、下に行くほどに「悲しい」「つらい」という不満の感情を表します。

横軸は「利益」と「損失」の関係を示しています。右に行けば行くほど利益が大きくなり、左に行けば行くほど損失が大きくなります。

価値観数グラフ

このグラフを見てわかることは、利益を得たときはゆっくりと心理的価値が上がり、損失を被ったときは即座に心理的価値が下がるということです。

つまり、同じ金額の損得でも損失の方が受け手の被る心理的価値の大きさが違うわけです。

この感じ方の違いが働くことによって、個人投資家は、小さく勝っているときは「うれしい」「楽しい」を確実に獲得しようと、大きく負けると「悲しい」「つらい」を解消しようとする行動を繰り返してしまうわけです。

 

 

株を買ったら、その後で上がるか下がるかは誰にもわかりません。

そうすると、2つの矛盾した気持ちが心の中に芽生えます。

1つは、上がるかもしれないといった期待です。

もう1つは、今売らないとさらに下がるかもしれないという不安です。

このとき、損失回避性バイアスが働くと、結果的には、このまま上がるかもしれないという期待感より、売らないと下がって損をしてしまうかもしれないという不安感のほうが大きくなる傾向が強いわけです。

そこで、いったん売って早めに利益確定しようという行動に出やすくなります。

逆に利益確定せずに下がると、あのときに売っていればよかったという損失回避性バイアスに、再び苦しめられます。

投資とはつまり、この繰り返しなわけです。

損小利大は投資家が勝つためのルールのようなものです。損をできるだけ小さくして、利益を拡大することを追求するべきですが、9割の投資家が残念ながらその逆をしてしまいます。

この原因こそ、損失回避性バイアスにあるわけです。いつか下げ止まると思って様子を見ていると、そのうちにもっと悪材料が出て下がり始めます。

そのとき、ロスカットできずに塩漬けにしてしまうのは、あなたの意識力の問題ではなく、損を確定するダメージが利益のそれを上回っているからにほかならないのです。

相場の負けを、相場で取り返そうとする行動を「リベンジ投資」と呼びます。リベンジ投資を行うような心理状態でトレードすることは、最も危険です。

 

 

冷静な判断力を100%失っている可能性が高いでしょう。計器や操縦桿なしで、飛行機を操縦するようなものです。冷静な判断がいっさいできない状態のまま空を飛べば、ちょっとしたリスクを回避することすら難しいでしょう。

このような危険な状態でトレードを繰り返せば、やがてあなたは破産してしまうのがオチです。

では、こうした心理状態を導き出すのは、相場の読みやテクニカル分析の甘さ、ファンダメンタルズ分析の結果ではなく自分の心理状態が引き起こしたことです。

自分のメンタルをコントロールできていないことが、失敗の要因になっていることに、早く気がつかなければなりません。

丁寧に財務分析をしても、繰り返しテクニカル指数を検証しても、結局のところ負けの根本的な原因は自分の心理状態にあるからです。

勝っているときに、テクニカル分析や財務分析に目を向けるのはいいでしょう。しかし、負け続けているときにまで、まだまだ分析が足りていないからだと考えてしまう個人投資家があまりにも多いのです。

どうにかして、相場の不確実な部分を減らしたい。そう思ってしまうのは理解できます。しかし、いくら市場分析を繰り返したところで、それらを100%なくすことはできません。

どれだけ知識の量を増やしても、負けをゼロにすることは不可能です。

大事なことは、自分の心理状態を知り、向き合うことです。

株式投資で勝つための理想的なメンタル状態を維持することに力を割くわけです。

もし、心理状態と行動が結びついていないと、資産を増やすどころか、どんどん資金を失う確率のほうが高くなるわけです。

株式投資で収益を上げていくというのは、一貫したトレードを繰り返していく中で、複利効果の力を得ながら大きな資産を目指していく、ということになります。

知識は不要です。私はマーケットを熟知している、そうした思い込みも必要ありません。相場のことはよくわからないが、自分のことはよく知っている投資家が相場で勝ち続けていけるわけです。

どうか、勝っているときも、負けているときも、自分の心理状況をきちんと把握しておく投資家からしか勝ち組投資家は生まれません。

どんなにいい大学を出ていても、財務分析や計算に強い会計士や税理士であっても、自分の感情をコントロールできない投資家に、継続した勝ちはないのです。

ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析に関しては、最低限、相場や銘柄を知るのに機能すれば十分ということです。

むしろ大切にすべきなのは、独自のマイルールに従ったトレードを繰り返すことです。そのトレードが100回できるようになれば、勝つ確率も上がり、おのずと利益を生み出せるようになります。

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