米・ドジャースの大谷翔平選手(29)の専属通訳だった水原一平氏(39)の違法賭博問題により、注目される“ギャンブル依存症”です。 報道によると、水原氏は賭博による約450万ドル(約6億8千万円)もの借金を、大谷選手の口座から無断で賭博業者に送金していたといいます。
日本でも、大阪府と米・カジノ事業者が2030年の開業をめどに、カジノを含む統合型リゾート施設の建設を進めていることが問題になっています。
ギャンブル依存症は、普通の病気と同じ。本人がどれだけ気をつけていても、一度ギャンブルを味わうと、誰もが依存症になる可能性があります。
そもそも現在、日本国内にはどれくらいのギャンブル依存症患者がいるのでしょうか。
ギャンブル依存症で精神科外来を受診している患者は、2016年の1千821人から、2019年には3千527人と増加しています。
しかし、潜在的にはもっと多く、厚労省が実施した調査では、約320万人程度のギャンブル依存症疑いの方がいると考えられています。
厚生労働省が2021年に実施した調査によると、ギャンブル依存症が疑われる国民は、18歳~75歳未満で約2.2%(男性3.7%/女性0.7%)です。
国勢調査のデータに当てはめると、約320万人のギャンブル依存症が疑われる人がいる計算となるのです。
とくに、コロナ禍の2021年以降は、スマホひとつで全国の公営競技に賭けられる“オンラインギャンブル”が主流になりました。その結果、競輪や競馬、オートレースなどの売り上げは2割以上伸びています。
裏を返せば、ギャンブル依存症患者が増えている可能性があるということです。
オンラインギャンブルとは、スマホから公営競技のサイトにアクセスして行うネット賭博のことです。
賭け金は、ネット銀行からの引き落としやPayPayなどで手軽に決済でき、提携しているローン会社から借金までできるのです。
オンラインギャンブルにはまった夫や子供の依存症を治したいという女性からの相談が多く寄せられるようです。
大学生の息子さんから、〈財布を落とした〉とか〈家賃が払えない〉などと、しょっちゅう送金の依頼があるので、〈仕送りもしているのにおかしい〉と問い詰めたら、じつはオンラインギャンブルで多額の借金をしていたというケースがありました。
また、息子がオンラインギャンブルで作った借金の返済に、親の退職金1千万円を充てたケースもあります。
相談に来られたのは、60代後半のご夫婦と、同居している30代の息子さんでした。彼のネット銀行の通帳を見ると、日々オンライン賭博事業者への送金があり、多いときは1日で10万円を超える賭け金が送金されていました。
やがてローンにまで手を出すようになり、借金は雪だるま式に膨らんでいったといいます。
さらに問題なのが、こうしたギャンブル依存症患者が、大阪にカジノが開設されることによって激増する可能性があることです。
2021年に大阪府・市が提出した区域整備計画では、カジノの年間利用者数はのべ約1千600万人と記されています。
うち、日本人が約1千万人。かりに、この計画どおり約1千万人の日本人がカジノを利用した場合、〈約2%がギャンブル依存症になる〉と、カジノ事業者も認めています。
つまり、年間20万人の依存症患者が生まれる可能性があるのです。
出張で大阪を訪れたビジネスマンが、接待でカジノを利用するケースもあるでしょう。
たまたまビギナーズラックで勝ったら、地元に戻っても、〈またカジノがしたい〉と思うようになります。そのときアクセスするのは“オンラインカジノ”。そうやって、カジノ依存症患者が増えていくのです。
さらに、こんな恐ろしいシナリオも進んでいます。
海外のカジノ場は、オンラインとの併用が主流です。今後日本でも法改正をして大阪のカジノにオンラインでアクセスできるようにする可能性は高いのです。実際、いま大阪で開発を進めている米・カジノ事業者は、オンラインカジノ事業者の買収を進めており、その機会を虎視眈々と狙っています。
大阪府の吉村洋文知事は、ギャンブル依存症対策として、〈入場回数の制限(7日間で3回、28日で10日)〉〈入場料1回6千円〉〈本人や家族などからの申し出による利用制限〉などを挙げていますがどうでしょうか。
対策している“ふり”にすぎません。1週間で3回と言いますが、カジノは24時間営業です。夜中の0時に入って、同日の午後11時59分に退出するパターンを1日おきに3回繰り返せば、ほぼ1週間入り浸ることができます。
本人や家族からの申し出による利用制限があっても、強制力はありませんから入場を拒むことはできないでしょう。
本気で対策するなら、日本人の利用は禁止すべきです。韓国では、一カ所をのぞいて韓国人の入場を禁じています。
ギャンブルに溺れ“水原化”する日本人を増やさないためには、抜本的な対策が望まれます。