氷河期セミリタイア日記

就職氷河期世代ですが、資産運用でなんとかセミリタイアできました。残りの人生は、好きなことをしながら自由に生きていきます。

「超富裕税」で、日本は全員”平等に貧乏な国”になる

2023年度の税制改正で政府が提案している、所得が約30億円以上の超富裕層を対象にした最低負担措置の導入(「極めて高い水準の所得に対する負担の適正化」)は、2025年導入予定です。

成功者をひがみ、引きずりおろして留飲を下げる目的だけの法案です。

この法案で期待される国の増収額だが(私は税の専門家ではないので正確な分析はできないが)、「所得50億円のケースでは2~3%負担が増えると想定される」と新聞報道にあるので、ひとりあたり1億円ずつの追加徴収だと仮定しても、せいぜい200億~300億円の増収です。

2022年度第2次補正予算後の赤字(公債費)62.4兆円に比べるとゴミみたいな増収です。

 

 

該当者が毎年200~300人と少ないからで、大部分はベンチャーを起業し成功して株を上場した人たちです。

2005年まで発表されていた高額納税者(長者番付)では、逆算して年間30億円以上の所得長者はいてもせいぜい数人でした。

この番付には分離課税での納税額は含まれていません。したがって、今回の税制改正の対象者が200~300人もいるのであれば、それは、ほぼ全員が源泉分離課税での納税者、すなわち株長者だと想定されます。

たった200億~300億円の増収のために、株式市場に悪影響を与え、かつ経済を引っ張っていく起業家たちのモチベーションを下げさせるデメリットは、あまりにも大きいです。

起業家たちがリスクを取っても見合うような環境を作らなければ、この国の産業の新陳代謝は絶望的です。

世界の格差は「大金持ちがさらに大金持ちになる」ことによって生じたが、日本のそれは「中間層の没落による」との分析は、研究者の間ではほぼ一致したものです。

それなのに日本では、「国力」というパイを大きくしている人たちを引きずりおろし、パイの分配のみを考えています。

このままでは中間層が没落しているだけでなく、全員が平等に貧乏になり、日本は共同貧困の国となります。

成功者に高いリターンを与える環境を作らないのなら、誰も頑張らないし、働かなくなります。

格差是正を究極の目的とする社会主義国家が資本主義国家に敗れたのは、この辺にあるでしょう。

多くの外国人たちが、「日本は世界最大の社会主義国家だ」と日本で働き、生活したうえでの感想です。

日本は、大きな政府、多くの規制とともに、”結果平等”の税制を持つ社会主義国家なのだ。この法案はそれをよく表す事例です。

人口の95%で見れば、アメリカ人より日本人のほうが優秀ですが、上位5%のアメリカ人は滅茶苦茶に働き、頭が抜群に良い天才たちです。

日本人の上位5%よりはるかに優秀で働き者です。その天才たちが作りだしたシステムにのっとって、残りの95%の人間が仕事をし、結果として、国全体がぐいぐい伸びていっています。

 

 

95%の人たちも、日本人よりはるかに裕福な生活が送れ、その天才たちの半分は海外からの移住組です。

GAFAの創設者をはじめ、経営幹部を見てみれば、米テスラの創業者、イーロン・マスク氏は南アフリカ共和国からの移民です。

彼らはアメリカで成功すれば大金持ちになり、その成功の報酬を、相続税を含む税金で国に持っていかれることもないのでアメリカを目指すのです。

日本のように成功しても、大したリターンがないうえ、その少ないリターンからも税金をがっぽり持っていかれる、すなわち天才を引きずりおろす仕組みの国には、絶対にやってきません。

逆に日本の天才たちはアメリカに逃げていく。そして日本は”平等に貧乏な国”になっていきます。

今回の税制改正では、生前贈与の相続税への3年内加算ルールが7年内加算へと延び、相続税贈与税の課税強化だ。

世界中で相続税の無税化、軽減化が進行しているとき、日本だけは重税化が進んでいます。

なぜ世界で相続税贈与税の無税化・軽減化が図られているのかを分析するべき。過度の再分配は国を弱体化させ、ひとりひとりの国民も貧乏になります。

国を引っ張るリーダーたちが相続税節税のため、頭と膨大なエネルギーを使います。

相続税贈与税の年間税収は例年ほぼ2兆円。消費税約1%分です。

税とは国全体が豊かになり(=パイを大きくし)、1人当たりの生活も豊かになることを第一義に設計されるべきものだ。そうすれば結果として税収も増えます。

格差是正を第一義に設計されるものではなく、格差是正の税制とは国が大発展し、大金持ちがさらに大金持ちになって、格差が無視できないほどの社会問題となった時に考えるべきものです。

日本はその段階に到着してはいません。

もちろん国民の生命と財産を守るのが国の最大の責務だから、真に生命が危機に面している人たちへのセーフティーネットの確立が前提での話であるのは当然です。

どの税目にしろ、増税となると、激しい抵抗の声が上がります。

コロナ禍に際しても気前の良いほどのバラマキが行われ、最近は防衛費増強での年1兆円の増税が議論を呼んでいますが、1人10万円配布の際には12兆円弱もの金が使われました。

旅行支援などでも多額の予算が組まれ、お金に色はないから、防衛費だけでなく、これらの歳出も、いずれは増税で賄わねばならない。増税が嫌なら、バラマキの段階で反対の声を上げるべきです。

 

 

バラマキが、誰か他人のお金で賄える時代はすでに過ぎた。借金額が限界を超えて大きくなってしまったからです。

大きな借金を返すには、「消費増税」か「所得税課税最低限の引き下げ」以外方法はありません。

ばらまけば、いずれは他人ではなく、自分たちへの増税となって跳ね返ってくることを認識すべきです。

法人税収の2023年度予想は13.7兆円。現在23%程度の税率を2倍にしても、算数の計算でいえば、13.7兆円の増収にしかなりません。

相続税なら2倍にしても2兆円の増収にしかなりません。

金持ちから取ればよいとの議論もよく聞くが、そもそもこの国には金持ちがいないから大きな増収は期待できないのです。

総合課税の適用を受けている人が4900万人程度。このうち税率10%以下の納税者は4000万人です。

したがって日本の人口1億2484万人(2022年12月1日概算値)のうち、たったの900万人しか10%を超える所得税を払っていないのです(分離課税を除く)。

限界税率33%(課税所得900万円)を超える納税者は50万人で、限界税率40%や45%を超える納税者は30万人に過ぎません。

その結果、課税所得900万円という「小金持ちの範疇にも入らないような人」に適用されている33%の限界税率を1%上げても、1%あたり500億円しか増税になりません。

一方、5%の限界税率(課税所得195万円以下)を1%上げれば、1%あたり6700億円の増収です。

多少はましだが、いずれにしても、今年度第2次補正予算後の赤字62.4兆円、コロナ前なら毎年30兆~40兆円の赤字を、これだけで埋めるのは不可能です。

それに比べ消費税は1%で約2兆円と徴税能力は抜群で。消費税に頼らざるを得ません。

消費税の大増税課税最低限の引き上げを絡ませるしか、現在の借金を賄う手段は無いということです。

このまま大きな政府(=大きな歳出)を続けるのなら、「消費税の大増税」+「課税最低限の引き下げ」で、国民全員に大きな負担がかかるのはやむを得ません。

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