進次郎氏はかつて年金について【1】年金80歳受給開始、【2】富裕層は年金返上、【3】年金保険料は生涯支払う、【4】非正規社員からも厚生年金保険料を取る、の4つを柱とする年金改革を提唱しました。
そして総裁選の出馬会見ではさらに、「年収の壁を撤廃。働いている方には原則厚生年金が適用されるように制度を見直す」とぶち上げたのです。
低収入のパートなど第3号被保険者や非正規社員からも厚生年金保険料を取るといいます。
国民からすればまさに「年金大改悪」です。
こうした進次郎氏の年金、社会保障改革には“仕掛け人”がいます。
進次郎氏は安倍政権時代の2016年に党内で「2020年以降の経済財政構想小委員会」(通称「小泉小委員会」)を立ち上げて年金など社会保障改革案をまとめて以来、自民党の「人生100年時代の制度設計特命委員会」事務局長、厚生労働部会長などを歴任しました。
「人生100年型年金」「勤労者皆保険制度」「こども保険」の創設などを提唱してきました。
村井氏は小泉小委員会では事務局長、「人生100年時代の制度設計特命委員会」でも進次郎事務局長の下で事務局長代理を務め、人生100年型年金をはじめとする進次郎氏の社会保障改革案をまとめてきた人物です。
年収の壁撤廃をはじめ進次郎氏の年金改革案は自分で思いついたものではありません。国民からカネを吸い上げたい財務省が長年温めてきた内容です。財務省と厚労省は、年金制度の保険料収入を増やし、年金給付を減らす取り組みを進めています。
国民の反発が強いから、人気が高い進次郎氏の名前で提案させたわけです。
現在、進次郎氏の政策ブレーンとしては、「後見人である菅義偉・前総理の首相秘書官を務めた大沢元一・財務省主計局総務課長が“家庭教師役”となって政策を指南している(財務省関係者)と言われています。
「アンコントローラブルで何をやるかわからない」と見られていた進次郎氏も、すっかり財務官僚に取り込まれてしまったようです。
そして、もう1人名前が挙がるのが元厚労官僚の山崎史郎氏です。
厚労省社会・援護局長などを経て岸田内閣の内閣官房参与となり、全世代型社会保障構築本部の総括事務局長を務めています。
進次郎氏が社会保障改革の一環として提唱する「こども保険」の発案者であり、「進次郎氏が総理になれば、官房参与に留任して社会保障改革を担うのではないか」(官邸官僚)と目されている人物です。
この山崎氏は厚労官僚として介護保険制度の策定を手がけ、「ミスター介護保険」とも呼ばれた。当時、厚生大臣として介護保険法案を成立させて制度創設に道筋をつけたのが進次郎氏の父・純一郎氏であり、父子2代の“ブレーン的存在”ということになります。
山崎氏が進次郎氏の社会保障改革プランにどう関わり、どう考えているのか尋ねるため、本人を自宅前で直撃しました。
「あー、僕はそういうことはね(答えられない)。ごめんなさい」
それだけ言うと黒塗りの送迎車に乗り込みました。
人生100年型年金とともに進次郎氏の社会保障改革の柱が前述の「こども保険」と「勤労者皆保険」の創設です。
「こども保険」は、児童手当拡大の財源として新たな社会保険制度を創設し、サラリーマンから年金生活者まで新たに保険料を徴収するものです。
「勤労者皆保険」はパート、アルバイトなどの非正規社員を全員、厚生年金や健康保険に加入させ、保険料を徴収します。
父・純一郎氏の首相時代の“負の遺産”は「100年安心」を謳った年金大改悪です。
保険料の大幅引き上げと年金カットを行ない、さらに健康保険料の値上げなども決めました。
それから20年後、息子の進次郎氏が総理になれば「人生100年型年金」を掲げてさらなる改悪を進める構えなのです。
父の純一郎氏は首相になると『自分の政権で消費税は上げない』と宣言しながら、年金や健康保険など保険料値上げを次々に決め、負担増で国民生活は苦しくなりました。
お父さんの政策によって日本で格差が広がったのは紛れもない事実です。進次郎氏も父と同じように年金改革など社会保険料負担を増やす政策を推進しようとしています。
2代目小泉政権ができれば、日本社会の格差はさらに広がるのではないでしょうか。
国民が「安心できない」父子2代の年金大改悪に騙されてはいけません。