8月5日の日本株の下落、日経平均株価は、1987年のブラックマンデー超えの史上1位の下落幅を記録しました。
為替市場も大きく変動し、急激な円高による日本経済への大きな混乱から「経験したことのない打撃が追い打ちをかける」という情報に、重い時間をすごした人も多いのではないでしょうか。
連鎖する金融危機の可能性 8月5日の大暴落から、翌日の日経平均株価は、大幅反発(史上最大の上げ幅)となり、危機が終わったという楽観ムードが漂っているとも感じます。
しかし、さらなる株価下落が連鎖する可能性も否定できない現状です。 今回、日銀の利上げ発言・米国の雇用統計の発表のタイミングがもう少し空いていれば、ここまで大きな株価下落にはならなかったかもしれません。
米国雇用統計の悪化 → 米国金利の下落 → 金利引き上げ予定の日本との金利差縮小 → 想定外に日本円が買われる →円高の進行 → 日本輸出産業の業績悪化への懸念 現時点の影響として懸念される事象が3つほどあります。
(1)個人消費への影響 自身の資産減少による控えめな消費行動
(2)国内企業業績への影響 設備・資本投資に対してネガティブとなる
(3)新NISA制度の普及へブレーキがかかる 「投資は怖い」というイメージから、一括投資や積立投資に終止符を打つ人も多くなると考えられます。
資本主義経済にとって、株式市場の暴落が、ただならぬ影響を及ぼすことを、改めて思い知らされる出来事となりました。
しかしながら、視点を変え、先入観を一旦忘れ、原点回帰と意識することによって、劇的な「好機」と考えることもできるのではないでしょうか?
株価暴落に代表されるように、将来の断定や予測ができないなかで重視するべきは、次の2つのことです。
1.「過去に何が起きていたのか」を知る
下げ幅と代表的な出来事 (日経平均株価と前日比/金額 影響の発端)
(1)1987年10月20日 21,910.08円 ▲3,836.48円 ブラックマンデー
(2)1990年4月2日 28,002.07円 ▲1,978.38円 バブル崩壊
(3)1991年8月19日 21,456.76円 ▲1,357.61円 ソ連8月クーデター
(4)2008年10月16日 8,458.45円 ▲1,089.02円 サブプライム住宅ローン危機~リーマンショック~世界金融危機
下げ率と代表的な出来事 (日経平均株価と前日比/率 影響の発端)
A.2001年9月12日 9,610.10円 ▲06.63% 米国同時多発テロ
B.2011年3月15日 8,605.15円 ▲10.55% 東日本大震災
C.2013年5月23日 14,483.98円 ▲07.32% アベノミクス相場調整・中国の景気指標悪化
D.2016年6月24日 14,952.02円 ▲07.92% 英国EU離脱
他にも、1929年の世界大恐慌や1972年のオイルショック、2000年の米国ITバブル崩壊などが、過去の市場暴落の代表的なものです。 株式市場では、これまで何度も大暴落が起こっています。
過去に、株を一気に手放した人もいるのではないでしょうか? ただ、重要視される点として、市場全体では上がり下がりがありつつも、長期では、確実に株価は上がっているということです。
市場暴落後の「米国株式」「日本株式」、それぞれの回復までの年数は、もちろん大きな違いがあります。 過程において、投資した資金が半額、またはそれ以下になることもあるかもしれません。苦難に直面することも数多くあることでしょう。
2.長期的な視点で資産を増やしていく「心の姿勢」
・株式市場はそもそも乱高下するもの
・暴騰もあれば暴落もあるという現実を受け止める覚悟
・小幅な下落と反発は数えきれないほど起こる必然的事象
株式市場の動きに一喜一憂することなく、こういった出来事がいつやってくるかもわからない現実と、向き合う姿勢を身につけたいものです。投資・積立投資を始めて、半年~1年程度が経過した、いわゆる「初心者」の人たちに確認をしたいのが、下記の項目についてです。
(1)投資を始める際、長期あるいは中長期の運用と認識していたか
(2)株式市場の乱高下において、ネガティブになっていないか
(3)日常生活に影響のない余裕資金を活用した運用しているか
(4)自身に合った投資スタイルの診断をもとに、投資を始めたか
(5)(4)にあわせて、自身にあった資産配分の確認をしたか
(6)ファンドを選択する際、「目論見書」の説明を受け、理解したか
(7)(6)にあわせて、運用管理費用(信託報酬)について、説明を受けて理解したか 上述の(1)~(7)について、(2)は個人的な考えなので、正解はありません。
しかし、(1)・(3)・(4)・(5)・(6)・(7)について、「NO」または「あまり理解できていない」という回答の場合、基本的かつ重要なルールの理解が不足しているといえるでしょう。
長期や中長期での資産運用・資産形成に関しては、不向きな性分かもしれません。 そういった人は、金利の上昇局面を味方に、確実性のある貯えの仕方へシフトしてもよいでしょう。
自分自身の「投資スタンス」を見直そう 今回のような「株価暴落」があったときこそ、自分自身の投資について、「ブレのないスタンス」を貫くことが大切です。 将来の予測はどんな経済学者でも不可能です。その前提のなかで、「ブレのないスタンス」とは、以下のように考えることです。
・「投資の一番の敵は己の心」と再認識する。
・ネットやYouTubeの情報を鵜呑みにせず、情報発信者・発信元の意図を考える。
自分自身と家族のライフプランの点検と確認、そして長い人生へ向けて、ライフイベントを見つめ直してみましょう。
そこから適切な「アセットアロケーション(資産配分)」と「リバランス(軌道修正)」を、もう一度振り返って実行してみることが、真の資産運用・資産形成の王道といえます。