氷河期セミリタイア日記

就職氷河期世代ですが、資産運用でなんとかセミリタイアできました。残りの人生は、好きなことをしながら自由に生きていきます。

フードバンクの需要急増

「食」を支援するフードバンクに対する需要は、かつてないほどに高まっています。

ひとり親世帯や独居高齢者に加えて、最近では1人暮らしの学生までも日々の食べ物を得るのに苦労しています。

フードバンクを通じて見えてくる貧困の現実とは、「底」が見えない 食べ物を見て回る学生たち、 フードバンクと自治体のつながりは深く、食料を必要とする困窮者たちの実情を共有しあっています。

特に心配しているのは「独り暮らしの高齢者」です。

例えば、国民年金にしか加入できない自営業者らの場合、夫婦とも65歳から老齢基礎年金を受給できますが、夫に先立たれると、妻は自身の老齢基礎年金1本になってしまいます。

 

 

遺族基礎年金は18歳以下の子供がいる場合に限られるので、受け取れる高齢者世帯は極めて少ないです。夫の死亡時に妻が遺族年金を受給できる高齢世帯は、現役時代にサラリーマンとして厚生年金にも加入していた場合にほぼ限られます。

自営業などに従事し、夫婦とも会社員・公務員の経験がない場合、老齢基礎年金の受給額は2021年、平均で1人当たり月5万6479円です。

持ち家や貯金でもない限り、これでは生活が難しいので、生活保護を受けることができます。

だが、保護を拒んだり、申請方法を知らなかったりする人もいる。民生委員が家庭訪問しても、なかなか自らの窮状を明かさず、「大丈夫」と答えるケースが多いといいます。

「中には年金をもらっても生活保護以下の生活を送っている高齢者もいるのではないでしょうか。『底』がみえてこない問題です。

この低年金問題は、バブル崩壊後の「就職氷河期世代」(現在は主に40代)の将来にも受け継がれる恐れがあります。

国民年金にしか加入できない人はかつて自営業者が中心だったが、現在は「氷河期」のパート従業員や非正規雇用者も多いからです。

ひとり親家庭の生活も追い詰められており、特に母子家庭の場合、母親は非正規雇用者として働いている割合が高く、コロナ禍での収入減と物価高騰のダブルパンチに見舞われています。

直近の2020年国勢調査によると、全国のひとり親家庭は500万世帯あり、全世帯の9%を占める。 フードバンクの活動を尋ねていると、信じられないような話も聞こえてきます。

ひとり親支援ではコメを提供しても、一定の割合でご飯を食べられない世帯がいます。電気・ガスが止められているから、炊飯すらできないのです。ましてや光熱費が今、上昇しているから、そういう世帯は増えているかもしれません。

 

 

企業や自治体が保有する防災備蓄品は数年に1度の入れ替えがあるので、その時を狙って、水を加えるだけで食べられるアルファ米を提供してもらい、支援に回しているといいます。

3月末の食料配布会を訪れた女性は2年前、体調を崩して仕事を辞め、今は治療に専念しており、貯金はあまり残っていません。

無償の給付型奨学金で進学した大学生の長男のアルバイト収入と、各種の公的給付でなんとか生計を維持しています。

食べ盛りの子ども2人の食費に困っていたころ、会の存在をネットで知り、今は月2、3回利用します。

現在の物価高はずしりと響き、高くて買うのを諦める食材もあります。

光熱費も上がり、この冬は「暖房はこたつだけに絞り、親子3人まとまって暖を取っていました。

収入減・物価高の苦境の中、シングルマザーの間でよく話題になるのが、母子家庭向けの公的給付が出るのは子どもが18歳の時までです。それ以降は打ち切られてしまうのが悩みです。

この女性の次男(高校2年)もまもなく18歳です。児童扶養手当や医療費の全額補助がなくなり、どうやって生きていこうみたいな話になります。

療養中の身には死活問題です。

ここ数年、新たな困窮者として浮かび上がっているのが、地方から出てきた1人暮らしの学生たちです。

実家の経済状況を考えると高い学費を親に頼り切るわけにもいかず、「食」にしわ寄せがきています。

学生たちを対象に食料支援会を開いている。3月は里帰りしている学生が多いが、それでも90人がやってきた。

長野県出身の2年生の女子学生は、バイト先の飲食店の仕事が減ったのを契機に昨年から支援会に顔を出すようになった。有償の貸与型奨学金は避けて、親から学費分だけ借りている。「バイト収入は減っても節約しながら少しずつ返済しています。実家に負担を掛けたくないから」。

親相手なら返済に融通は利くが、家庭の事情も考えると、今のうちから返済し始めたい――。考えた末の選択です。

 

 

支援会場はフードバンクからの提供品だけではなく、地元の農家から提供されたコメやジャガイモ、ニンジンのほか、パン屋さんの自家製菓子パンも並びます。

地域ぐるみで学生を応援しているのだ。学生たちはじっくりと食材を眺めながら、必要な物を袋に詰め込んでいきます。

「支援」してもらうことに「最初は抵抗感があった」という別の女子学生も、今では10回以上訪れたことがある常連です。

1人暮らしの3年生の男子学生は、コロナ禍でバイト先の回転ずしチェーンの営業時間が減り、シフトに入れないことが多くなった。「収入が足りず、出費を削るとしたら食費からでした」。

家賃や光熱費、教材購入など固定費はほとんど減らしようがなく、食費は月1万円を切る。この日、選んだのはコメやレトルト食品、缶詰などです。

1カ月に1回、1袋分の食材だが、あるのとないのとでは大分違います。

戦後の日本は高度成長やバブル経済を経て、一時「一億総中流」とも呼ばれ、「食」への不安はなくなったかに見えました。

しかし、21世紀の今、あちらこちらでほころびが見えます。

食べるのに困る人たちが増えてきたのは、非正規雇用が増加してきた1995年以降だと思います。

低所得・低収入の方々をそのまま放置していたところに、近年はコロナ禍や物価高騰という外的な要因が重なって、母子家庭や低年金の高齢者の家計は一段と圧迫されています。

憲法25条の『健康で文化的な最低限の生活』は、ある人にとっては保障されていても、ある人にはもはや保障されていない状況でしょう」 「食」の問題は「格差」と密接な関係があり、再分配の制度がうまく機能していないことが問題です。

例えば、母子家庭の児童扶養手当は再分配の非常に有効な手段です。パートでしのいでいる母親には大きな支えになります。所得制限の在り方や給付の増額を議論すべきです」と述べ、国は現金給付などの政策で食を保障する責任があります。

フードバンクと支援組織には食品提供だけではなく、「きめ細やかな対応」という存在意義があります。

高齢夫婦が認知症のため食事が作れなくて、脱水症状で倒れているのが発見された例もあります。

国がお金を渡したら済む話ではなく、利用者の状況を見て食べ物を渡したり、困り事の相談に乗ったり、関係機関につなげたりする働きは重要です。

支援の担い手の多くは、手弁当での活動です。フードバンクの人材育成、食材を保管する倉庫や冷蔵庫といったインフラ整備には、政府が本腰を入れる必要があります。

にほんブログ村 ライフスタイルブログ セミリタイア生活へ
にほんブログ村