氷河期セミリタイア日記

就職氷河期世代ですが、資産運用でなんとかセミリタイアできました。残りの人生は、好きなことをしながら自由に生きていきます。

各業界で深刻なアルバイト不足 「代わりはいくらでもいる」時代は終焉

かつて200万人を超えていたフリーター人口は減少し続け、2022年は132万人でした。(総務省統計局「労働力調査」調べ。ここでの「フリーター」は15~34歳で男性は卒業者、女性は卒業者で未婚の者の合計)。

非正規労働者に頼ることで成立してきた日本の多くの仕事の現場ではいま、深刻な人手不足に陥り、浮上する気配がありません。

「よりどりみどり、選べた時代は終わったのだと思う。昔はコンビニのアルバイトでも求人すれば応募が必ず来て、いろいろ理由をつけて落としたりもしたが、いまは日本語が理解できればそれでいい」都心の繁華街にあるコンビニエンスストア、60代のオーナーが語ります。

「店が成り立たなくなるのでは、と思うほどアルバイトが不足している。都心に限れば他の店も大なり小なりそうではないか。うちのようなフランチャイズはもちろん、直営店舗もアルバイトが全然集まらない」

 

 

かつてコンビニといえばアルバイトの代名詞、学生アルバイトはもちろん主婦、主夫、そしてフリーターと多くは「アルバイトといえばコンビニ」だったのではないでしょうか。

失職した場合も「コンビニでバイトすればいいか」は平成の常套句でした。それが主に都市部で不足しています。

2022年、日本フランチャイズチェーン協会の『コンビニ各社における行動計画の進捗及び 業界の取組状況』でも「急激な社会環境変化への対応遅れ」として、人手不足への対応とその遅れを憂慮しています。

しかし対策は将来的な省人化、無人化と人口増加が見込める海外へのさらなる進出で、具体的な解決としては厳しい内容です。

「若い人は誰もコンビニなんかで働かない。それくらい来ない。それはもうわかっている。若い人は他にいくらでも働き先があるし、そもそも昔に比べて若い人が少ない。少ない若者が好き好んでコンビニで働くことはない。とくに都心ではそうだ」

コンビニの仕事は多岐にわたり、「時給に見合わない」「やることが多すぎる」などの不満はありました。

「そんなものは昔からある。安くても、割に合わなくてもバイトに来るのがコンビニだった。こちらもその中から選べた。しかしいまは誰も来ない。若い人は来ない。コンビニが敬遠されているというより、コンビニより働く場所がある、ただそれだけだと思う。ただそれだけ、それが一番怖いことだと思うが、本部も同業者もそれをわかっていない人は多い」

その仕事が嫌だからではなく他に仕事があるからその仕事が選ばれない、これは店や経営者の問題より大きな社会構造の変化によるものです。

先の急激な社会環境変化への対応遅れは、日本経済全体に言える話で、少子化に代表される人口減であり、価値観の多様化であり、そして日本人の働き方とその趣向の変化です。

昔は大卒で就職が決まらない子も大勢いて、それも一流大学です。安い時給で店を仕切ってくれましたが、いまはそんな都合のいい若い子は来ません。

ベテランの中にはいまだに『代わりはいくらでも来る』と思っている者もおり、それで来ればいいですが来ず、結局そのオーナーが1日中働いています。

仕事の豊富な都会と地方、地域性もあるのだろうが、やはり「代わりはいくらでもいる」というフレーズは日本における30年間の失われた時代を象徴する言葉でした。

 

 

あの時代の感覚のままアップデートできずに「人が来ない」「優秀な人を安く使いたい」という経営者はいまだ一定数存在します。

優秀な若者を安い時給で使えた旨味が忘れられないのです。

人手不足はコンビニだけではありません。

40代の大手牛丼チェーン社員の話。 「いまだに本部の中には店舗スタッフ採用を甘く見ている幹部がいます。氷河期世代の優秀な若者が長期間働いてくれた昔の感覚が抜けないのだと思います。

ときに『厳選しろ』などと言われるが、もはやこちらが選べる立場ではありません。

来てくれたら『働いていただく』になっています。

時給は他の外食に比べれば悪くないと思うが、それでも他の人気の仕事に比べれば魅力はありません。

大手牛丼チェーンに限らず外食を中心に人員の不足で「臨時休業」「時短」の店舗が出始めています。

都心の店舗に限れば独身でワンルームに住むようなフリーターが減りました。昔はそういう人が多く、夢追い人だけでなく、優秀な大学を卒業しているような若者も来てくれました。

それで社員になった者もいます。

しかしいまの若者は他にいくらでも仕事があるし、昔ならうちのアルバイトでも採用しないな、という若者でもそれなりの人気業種に就職していたりします。

それも正社員が当たり前だ。そんな人気業種と取り合いして勝てるわけがないし、正直、就職の厳しい時代の人間であれば羨ましく思います。

この店舗の近くとなるとワンルームでも最低7、8万はすると思う。昔はもっと安く、それだけの家賃を出して今どき牛丼屋でアルバイトはしないでしょう。

いまの若者はいくらでも仕事があるし、古い世代の無茶な夢の追い方はしません。正社員で兼業とか、正社員をしながら趣味の延長線上で夢を追うし、それができます。

日本の働き方改革少子化による厚遇からそれができる環境にもあるのかもしれない。

そもそもいまの若い人は簡単に正社員になれます。

50社100社全落ち、聞いたこともない会社すら落とされてフリーターのまま10年なんて時代とはまったく違います。

そこで積極採用しているのが中高年やシニア層です。

40代後半から上はどの店舗も増えましたが、続かない場合も多いし、その年齢でクルーになるといろいろ難しいことが多いのです。

正社員である店長も同世代か年下であることが大半です。

ただシニア、とくに女性は使える人が多く積極的に採用したいのですが、それでも「選べる立場にありません。

それでも「コンビニや牛丼チェーンなどまだまし」と語るのは居酒屋チェーンの30代マネージャーです。

居酒屋はすでに人手不足で店舗の閉鎖が相次いでおり、は業界の自業自得もあるでしょう。コロナ禍で一番バイトを削ったのは飲食店、とくに居酒屋です。

緊急事態宣言で時短や一時休業をしたが、居酒屋チェーンの多くは極端なシフト削減や一時解雇に走ってしまったのです。

アルバイトやパートが戻って来ないどころか負担が増えて社員も一部が辞めてしまい、いまさら戻ってきてくれと連絡しても他の仕事が決まっている者が大半で、ただでさえ評判の悪い業界にさらに不安定なイメージがつきました。

 

 

いわゆる「夜の街」バッシングや緊急事態宣言での狙い撃ちなど、保身に走った業界もまた居酒屋チェーンということです。

全部ではないが、多くはそうでスタッフが戻らない、人手が足りないと言うのは虫のいい話です。

かつてネットで散々叩かれた居酒屋チェーンの創業者もそうだが、業界の体質としてブラックで当たり前、だからどうしたという空気もありました。

人手不足が深刻なこの国で、とくに重症化している外食産業です。

帝国データバンクによれば2023年4月は過去最多の30件が「人手不足」で倒産しました。2013年1月からの統計でもっとも多い数字で、業種別ではサービス業と建設業がもっとも多かったのです。

コロナ禍で露呈した業界の問題とアフターコロナへの対応の出遅れ、そしてこれまでの低賃金、重労働といった待遇の悪さと「ブラック」とされてきたイメージが蓄積された結果もあるのかもしれません。

飲食や建設と同様に運輸、福祉、教育などの現場もまた人手不足に悲鳴を上げています。

頼みの外国人すら、以前ほどは集まらなくなっています。

また、省人化しか手立てはなく、賃金が安くて重労働かつ居心地の悪い環境で働きたくない、働けるなら、より働きたいと思える仕事、職場という当たり前の話が、少子化と疫禍によって露呈したということです。

もちろん地域差はありますが。少子化という絶対的かつ不可避な要因のある限り、全国への波及はそう遅くはありません。

地方の場合はただでさえ少ない若者の流出という問題もあり、頼みだった外国人技能実習生すら地元に残らず都市部、あるいは再び海外に流出してしまっています。

これまで選ばれなかった日本の労働者たちが、徐々に選ぶ側になりつつあるのです。

「代わりはいくらでもいる」と捨てられた労働者もまた、選ぶ側にまわりつつあります。

この急激な社会環境変化に対応するため、いまだはびこる「代わりはいくらでもいる」という旧態依然の体質を改めない限り、この人手不足は解消されることがないどころか、いまも現場に残る労働者にまで見切りをつけられてしまうかもしれない。

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