氷河期セミリタイア日記

就職氷河期世代ですが、資産運用でなんとかセミリタイアできました。残りの人生は、好きなことをしながら自由に生きていきます。

ほとんどの日本人が気づいていない「マイナ保険証」の恐ろしすぎる「落とし穴」

国による強引な「マイナンバーカード」普及の一環で、すべての国民が使っている健康保険証が2024年の秋に廃止されることになりました。

これは単に紙の保険証がマイナンバーカードに統合されるだけではありません。

その先に待っているのは、日本が世界に誇る健康保険制度の崩壊の危機だと私は思っています。

これから何回かに分けて、マイナ保険証の問題点を追求していきたいと思います。

3月7日、岸田内閣は現在の健康保険証を廃止し、マイナ保険証を全国民に義務化するという法律の改正案を、閣議決定しました。

マイナンバーは、国から国民に「強制的」に割り振られた番号ですが、この番号を使った「マイナンバーカード」を作るかどうかは「強制」ではなく、あくまでも「任意」です。

なぜ、「強制」ではないのかといえば、数字だけのマイナンバーと異なり「マイナンバーカード」には、氏名・性別・住所・生年月日の「基本4情報」だけでなく顔写真、さらにはカードの裏側にICチップもついていて、オンラインで精度の高い本人証明が可能だからです。

 

 

ちなみに顔写真は、本人確認の精度が指紋の1000倍と言われていますから、これを行政が「強制的」に個人から収集・利用するには、相当な必要性がなければプライバシーの侵害となる可能性があります。

ですから、これに反対する人も多く、そのために「マイナンバーカード」の作成は「強制」ではなく、作りたい人が申し出る「任意」の形をとっています。

マイナンバー法(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律)の第16条の2では「住民基本台帳に記録されている者の申請に基づき、その者に係る個人番号カードを発行するものとする」となっていて、マイナンバーカードについては、本人の申請でつくられることが明記されています。

個人情報保護委員会のパンフレットの「マイナンバーハンドブック」にも、「マイナンバーカードは、マイナンバーをお持ちの方 からの申請により、市区町村が交付します。

これはICチップが搭載されたプラスチック製のカードですが、このICチップには、所得情報や健康情報などのプライバシー性の高い個人情報は入っていません」となっています。

ところが、「本人の申請」がなくては作れない「マイナンバーカード」に、「マイナ保険証」という必要不可欠な機能をつけ、しかも現在の健康保険証を来年の秋には廃止するというのです。

その結果、なにが起きるのかと言えば、「任意」であるはずの「マイナンバーカード」を作らなければ、保険証が持てなくなり、国民皆保険から弾き出され「膨大な医療費を支払うことになる」と脅しているようなものです。

マイナンバーカード」は、あくまで「任意」で作るという建前ですから、多くの人が申請するように、政府は最高2万円分のポイントをバラ撒き、加入を促進する「アメ」を配りまくりました。

この普及キャンペーンにつぎ込まれた予算は累計で約2兆円以上といいますから、国民1人当たり平均で約1万6000円の税金を負担した計算です。

しかも、その前に過去9年間で8800億円の税金が使われています。これは、2021年3月の衆院内閣委員会、当時首相だった菅義偉氏が明らかにした数字で、この金額も含めると、約3兆の税金が使われたことになります。

その一方で、国から自治体へ交付金を配分する際にマイナンバーの交付率を基準にするなど、「ムチ」で締め上げることもありました。

 

 

財政状況が良くない地方自治体にとって、交付金を受け取れるかどうかは死活問題です。このため、独自に宣伝したりポイントをバラ撒いたり、中には「家族全員がマイナンバーカードを取得しない限り、これまで無償だった給食費を有料にする」と住民を“脅迫”する自治体なども出てきて大問題になりました。

国の目標は、マイナンバーカードを2022年度末までにほぼ全国民に交付すること。この「アメ」と「ムチ」の効果は絶大だったようで、デジタル庁の「政策データダッシュボード」を見ると、3月末の時点で、「マイナンバーカード」を作っている人は、国民の約76%となっています。

ただ、それでもまだ約4分の1の人は「マイナンバーカード」を作っておらず、そうした人たちを締め上げるために、保険証を無くして「マイナ保険証」を義務化するという政策を強力に打ち出したのでしょう。

ちなみに、同日時点で「マイナ保険証」を作っている人は、国民全体の約66%でした。マイナンバーカードは持っていても、マイナ保険証を取得していない人が少なからずいるのは、そのメリットを感じられないからではないでしょうか。

国もそれはわかっています。「マイナ保険証」を作れば、7500円分のポイントを付与するのも、今ある紙の健康保険証より大幅に便利とまでは考えていないからではないか、と疑ってしまいます。

そこで具体的に、現在の保険証を廃止してまで「マイナ保険証」に替えるメリットがあるのかということを、使う側の視点で見てみましょう。

政府が打ち出す「マイナ保険証」のメリットの一つは、顔認証を利用することで医療機関の窓口での受付が自動化され、スムーズかつ時間短縮になるということです。

確かに、受付が自動化されれば、受付での待ち時間も短縮されるというのはその通りです。ただ、病院の待合室で患者が長時間待たされる原因は、受付に時間と手間がかかっているからではありません。

少ない医師が次々と来る多くの患者に対応しきれないのが理由であるため、前の患者の診察が終わるまで待合室で待っていなくてはならないというケースも多々あります。

 

 

ですから、今まで3分かかっていた受付の事務作業が1分になったからといって、病院での待ち時間が劇的に短縮されるとは到底思えません。

もうひとつのメリットとして、厚生労働省は「正確なデータに基づく診療・薬の処方が受けられる」と言っています。これはどうでしょう。

結論から言えば、「マイナ保険証」を使えば、正確なデータに基づく診療・薬の処方を受けられるのかというと、必ずしもそうとは言い切れません。

なぜなら、「マイナ保険証」に入っている主な診療情報とは、「レセプト(診療明細書)」の情報だからです。

医師は患者の状態を見て、得られた情報をカルテに書き込み、過去のカルテと照合しながら病状を判断して施術を行ったり、薬を出したりします。

レセプトとは、その時に患者が支払ったお金の明細書でしかありません。

しかも、これはリアルタイムな情報ではなく、「1ヶ月前に、こんな病気で医者に行ってこんな治療を受けた」というようなもの。

医師は、リアルタイムで診断してこそ正確な対処ができますから、レセプト情報があるというだけで、必ずしも「正確なデータに基づく診療・薬の処方が受けられる」とは言えないのです。

もしもレセプトの情報だけで診断する医師がいたとしたら、医師免許を取り上げるべきでしょう。

ちなみに、道で倒れて救急車で運ばれる時に、「マイナ保険証」を見て、救急隊員が応急措置をしてくれるかといえば、それもできません。

救急車は、「マイナ保険証」とは連動していないからです。しかも国は、将来的には医療カルテ自体を「マイナ保険証」に搭載したい意向を持っていますが、多くの医師がこれに反対しています。

なぜなら、医師には患者の医療情報を漏らしてはならないという守秘義務があり、これを怠ると医師免許が取り上げられてしまうかもしれないので、情報漏洩を懸念しているからです。

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