2024年1月から始まる「新NISA」。いままでと何が変わるのでしょうか?
今年のうちにすべきことは何なのか。NISAと投資をどう考えればいいのか。新しい仕事や暮らしが始まる新年度のタイミングでまとめました。
「NISA」は来年からどう変わる?「つみたてNISA」はどうなる? 表で比べてみると…
岸田政権が掲げた「資産所得倍増プラン」により、制度が拡充されることになった「NISA」(少額投資非課税制度)です。
NISAとはよく聞く言葉ですが、どんな仕組みで、それがどう変わるのでしょうか。
そして、「貯蓄から投資へ」と言われても、なかなか行動するのは難しいという人も、少なくないはずです。
NISAの口座数(一般、つみたての合計)は2022年末現在で約1800万口座ほどです。
1. そもそもNISAってなんだっけ?
通常、投資で得た利益(運用益)には約20%の税金がかかります。
「NISA」最大の特徴は「少額投資非課税制度」という名前の通り、運用益や分配金、配当が非課税となる点です。
現行制度では、毎月決まった額(年40万円)を長期にわたり積み立て、分散投資することができる「つみたてNISA」や、自らが選んだ株や投資信託を5年間運用できる「一般NISA」があります。
なお、「つみたてNISA」では、対象商品が金融庁の基準をクリアした株式投資信託とETF(上場投資信託)に限られています。
2024年以降の「新NISA」でもつみたて枠の対象商品は変わりません。
2. 新NISAで変わることは?
2024年1月から始まる予定となっている「新NISA」。
拡充とされているポイントは、以下の通りです。
(1)「新NISA」全体の生涯投資枠は1800万円に
(2)うち「つみたてNISA」の限度額は年間120万円に
(3)うち「成長投資枠」の限度額は年間240万円に
(4)「つみたてNISA」と「成長投資枠」が併用可能に
(5)いずれも非課税期間は実質無制限に、口座開設期間も恒久化
3. 新旧制度を比較してみると… 以下のような変化があることがわかります。
・年間投資枠、総投資枠が増加 つみたて40万→120万、一般120万→成長投資240万 最大800万→最大1800万(うち成長投資1200万)
・非課税保有期間、口座開設時期が無制限
・恒久化に
つみたて20年、一般5年→無制限
つみたて~2042年、一般~2028年→恒久化
・制度の併用や再投資が可能に
併用不可→併用可
売却した枠の再投資不可→再投資可
4. では改めて…NISAのメリットって?
金融庁のサイトでは、中長期投資のメリットとして、
(1)投資期間が長いことで、価格変動リスクを減らす
(2)利益が運用され増えていく「複利効果」がある ことをあげています。 「NISA」で投資した商品はいつでも払い出し・売却できるため、中長期的にお金を増やす「将来の備え」としての運用に向いているということです。
5. では具体的な「リスク」って…?
金融庁サイトより もちろん、投資にはリスクが付きものです。
金融庁は投資における「リスク」の代表例として表のような例をあげ、「『リスク』が『危険』や『損失』のことではなく『可能性』のことを意味している点に注目してみてください」と呼びかけています。
リスクをとって値上がり益を狙う、投資先や期間を分散してリスクを低く抑えて預貯金の代わりに使うなど、投資の仕方はさまざまです。
なお、メリットで示したように、NISAで少額かつ長期の投資をすることは、こうしたリスクを分散する意味合いがあります。
6. 今年中にすべきことは?
新NISAの生涯投資枠「1800万円」の枠は来年からカウントされます。
つまり、現行NISA今年の枠(つみたて40万円、一般120万円)を活用すれば、投資できる額が大きくなることになります。
また、来年からの開始を見込んでいる場合は、今年の残りの期間を準備期間とすることも大切です。
口座開設の手続きなどはもちろん、現状のキャッシュフローや将来に必要な資金の棚卸しといったライフプランづくり、そして投資先の選定なども大切な「すべきこと」になります。