厚生労働省から公表された『令和2年度人口動態職業・産業別統計の概況』は、出生、死亡、死産、婚姻、離婚の人口動態事象と職業、産業との関連を明らかにしたものです。「死亡」についてみていきます。
「死亡理由」の構成割合 2020年「日本人の死亡者」は138万人…“仕事”で傾向を検証してみます。
厚生労働省『令和2年度人口動態職業・産業別統計の概況』によると、2020年度の死亡者数は138万4,956人。そのうち就業者は10万9,788人。
2020年の就業者は6,677万人でしたので、就業者1,000人あたりの死亡率は1.64人でした。
性別、就業状態別にみていくと、男性有職者の死亡者数は7万8,145人で、男性の死亡者全体の11.0%。一方で、無職者の死亡者数は58万1,613人で、男性死亡者全体の81.6%でした。
女性の有職者の死亡者数は3万1,643人で、女性の死亡者全体の4.7%、一方で無職者の死亡者数は59万9,800人で、女性死亡者全体の89.2%でした。
職業別に年齢調整死亡率(人口千対)をみると、男性では「管理職」が最も高く11.2。「サービス職」9.4、「農林漁業職」7.6と続きます。
一方、女性では「輸送・機械運転職」が突出して高く83.2。「建設・採掘職」44.0、「保安職」18.5と続きます。
次に産業別に年齢調整死亡率(人口千人対)をみていくと、男女とも「鉱業、採石業、砂利採取業」が最も高く、男性で64.4、女性で116.1。ほか男女ともに、「電気・ガス・熱供給・水道業」「情報通信業」の死亡率が高くなっています。
【産業別「年齢調整死亡率(人口千人対)」男女上位5】
◆男性
鉱業、採石業、砂利採取業:64.4
電気・ガス・熱供給・水道業 :64.0
情報通信業:14.2 漁業:11.3
複合サービス事業:9.8
◆女性 鉱業、採石業、砂利採取業:116.1
電気・ガス・熱供給・水道業:106.8
情報通信業:23.7
運輸業、郵便業:11.5
漁業:10.4
出所:厚生労働省:『令和2年度人口動態職業・産業別統計の概況』より
続いて主要死因別の構成割合を性別・産業別にみていきます。
日本人の死因で最も多いのが「悪性新生物<腫瘍>」ですが、男性の死因で「悪性新生物<腫瘍>」の割合が最も高い産業は「学術研究、専門・技術サービス業」で42.9%。一方で最も低いのが「その他サービス業」で33.5%となっています。
女性の死因で「悪性新生物<腫瘍>」の割合が最も高い産業は「金融業、保険業」で50.9%。
一方で最も低いのが「不動産業、物品賃貸業」で27.2%となっています。
日本の死因第2位の「心疾患」についてみていくと、男性の死因で「心疾患」の割合が最も高い産業は「教育、学習支援業」で17.1%。一方で最も低いのが「情報通信業」で12.8%となっています。
女性の死因で「心疾患」の割合が最も高い産業は「不動産業、物品賃貸業」で15.2%。一方で最も低いのが「情報通信業」で6.8%となっています。
もう1つ「自殺」についてもみていきます。男性で「自殺」による死亡の割合が最も高い産業は「公務」で15.6%。
一方で最も低いのは「不動産業、物品賃貸業」で2.4%。
一方、女性で「自殺」による死亡の割合が最も高い産業も「公務」で15.6%。一方で最も低いのも「不動産業、物品賃貸業」で1.4%でした。
公務とは、日本標準産業分類より「国又は地方公共団体の機関のうち、国会,裁判所,中央官庁及びその地方支分部局,都道府県庁、市区役所、町村役場など本来の立法事務、司法事務及び行政事務を行う官公署が分類されます。
なお、国又は地方公共団体の官公署で、社会公共のために主に権力によらない業務を行う事業所は、一般の産業と同様にその行う業務により、それぞれの産業に分類されます。
どういう理由で公務員が自殺したというのは不明ですが、公務員試験の成績が優秀な偏差値至上主義的な人の集まりですから、一部にはコミュニケーション能力がない人がいます。
彼らは、職場内でうまく人と接することができずに心の病を発症します。その後、職場の中で「あいつは…〇〇だ。」というような差別を受けるようになります。その人のいないところではボロクソにけなされ、仲間外れにされていくのです。村社会でいう村八分でしょうか。
そういう状況下で、自分をどんどん追い詰めて休職を繰り返していくのです。
セミリタイアなどして逃げ場所がある人はよいでしょうが、自分を追い詰める人にとっては不幸な道を歩む人もいるかもしれません。
こうなってしまうと、当然出世コースから外れた人になりますので、人によってはますます立場が追い込まれるように感じるでしょう。
ただし、出世コースに外れても、最強メンタルで、安定した給料と退職金、老後の年金だけのために組織にしがみついている人も多いはずです。
そもそも公務員組織というものは、公務員試験に通るだけ能力が高いだけで、コミュ障のような人格障害な人も多く、その結果、心の病である人を量産し、彼らを死に追いやる閉鎖的なところがあります。自分たちで首を絞めているところもあるかもしれません。
公務員といえば、安定・安心の職業として知られていますが、特に自衛隊、警察、消防などは、昭和の価値観を残したままのハラスメントのオンパレード職場です。世間の常識が一切通用しないブラック職場でしょう。数えきれないぐらいニュースになっていますから。
また、最近はコロナ禍での「激務」が問題になっています。
辞めたいと思っている保健所職員は6割もいるそうです。
公務員すべてがというわけではありませんが、本省勤務では長時間労働が常態化し、特に繁忙期は“不夜城”と称されるほどで、過労死ラインを超えているのが3割という調査結果もあります。
働き方改革も推進されていますが、結果が出るのは、まだまだ先、といったところのようです。