氷河期セミリタイア日記

就職氷河期世代ですが、資産運用でなんとかセミリタイアできました。残りの人生は、好きなことをしながら自由に生きていきます。

ホウレンソウに不信感 日系企業はアジアで人気低下

政府は、日本で働く優秀な外国人技術者などが滞在1年で永住権を申請できる制度の導入を決めました。

日本や欧米の大企業は、中国やインドなど有能なアジア人材の確保に躍起です。

しかし、早稲田大学トランスナショナルHRM研究所の調査によると、アジア主要国の日系企業への就職志向は下がっているといいます。

日系企業で働きたい外国人は74%から40%に下落しています。

日系商社に長年勤める中国人女性は「かつての日本企業は憧れの存在で、入社して学べるモノがたくさんあった。しかし、もう一度20代に戻って、日本の会社を選択肢するかどうか分からない。」こう打ち明けています。

 

 

同研究所所長の大滝令嗣教授は、中国やインド、インドネシア、タイなどアジア主要8カ国を対象に「日系企業は海外でどう見られているか」をテーマに22年に調査を実施、この結果をもとに日系企業などに勤務する中国やインドの3人とオンラインセミナーを開催しました。

同様の調査を08年や14年などに実施しており、各回の調査と比較しながら、各種データを公表しました。

アジアのホワイトカラー人材が働きたい企業の国籍は、08年はトップが米国系企業で86%、欧州系企業は81%、日系企業は74%の人が働くことに興味を持っていました。

しかし、22年の調査では米国は67%、欧州は58%、日本は40%。それぞれ下がりましたが、日本の落ち込み幅が特に大きかったのです。

一方で急伸したのは自国の企業で、14年は58%でしたが、22年に82%でトップとなりました。

予想以上に日系企業から自国の企業に就職人気がシフトしているようです。

TCS、ファーウェイ、中印の自国企業が人気になっています。

日系企業の閉鎖性に課題があり、 実際に働きたい企業の上位は、14年はグーグル、アップル、英シェル、マイクロソフトIBMと米国勢が占めました。

日本企業のトップはトヨタ自動車が8位、ソニーが24位。これが22年になると、グーグルやマイクロソフトなどの米国企業に混じってTCS、ファーウェイなどのインドや中国の自国企業の台頭が目立ちます。

ちなみに日本企業は18位にパナソニックトヨタが入りました。

ここで気になるのは企業を選ぶ時の基準が大きく変わっていることです。

同調査によると、14年の選択順位は企業のブランド、製品・サービス、企業規模の順でしたが、22年は成長のための育成の機会、報酬・福利厚生、事業の成長性に変わりました。

特にZ世代と呼ばれる20代は、大企業志向よりも個人にとってプラスになるか否かに基準が置き換わっているといいます。

かつて日系企業で働く障害は圧倒的に言語の壁でした。

 

 

しかし、22年は言語に次いで、閉鎖的な雰囲気、限定的な昇進、低い報酬を問う声が高まっています。

日本の会社の課題は言葉の問題以上に「島国根性」とも呼ばれる閉鎖性なのかもしれません。

日系企業がアジアの高度人材から選ばれるにはどう変わればよいのかは、若手人材のトレーニングの機会を増やし、成長のための場数を踏ませて、権限を大幅に委譲することが大事です。

中国のIT系企業は30代のリーダー人材に権限をどんどん委譲、最新のテクノロジーマーケティング手法も駆使して世界市場でも急成長を始めているといいます。

日本企業はホウレンソウ(上司への報告・連絡・相談)が大事だと言いますが、外国人を信用していない、任せてもらえていないと感じることが多いようです。

年功序列が当たり前の日本企業では昇進も遅く、給料も上がらない、世の中の変化に対応できず、新しいことも取り組めない、おまけに村社会、これでは優秀な人材が辞めていくことは明白です。

アジアの日系企業は現地社員が新規事業などを提案した場合、現地法人の上司に報告された後、本社で検討、協議されて承認を得るケースがほとんどです。

これではどんなに優れた提案でも、事業開始には大幅な時間がかかります。現地の市場をもっとも熟知しているのは、本社の人間ではなくローカルスタッフ、権限委譲は大きな課題でしょう。

日系企業は多様性にも無理解で、日本企業のダイバーシティは言葉だけです。

最近、社外取締役などに著名な有名人を採用している傾向にありますが、世間体を取り繕っているだけです。

外国と比べ女性の管理職比率が低いことから、やみくもに女性を管理職にする傾向があるようですが、それも形だけのことです。

 

 

男女比や外国人の比率ばかりを気にして、ダイバーシティがなぜ必要なのか、そこから何が生み出されるのかを理解していません。

インドでは某日系自動車メーカーのプレゼンスが高く、多くの優秀なインド人エンジニアたちの憧れでもありますが、入社後、日本的風土を目にするとすぐに他のインドや欧米系のメーカーに転職するケースが目立ちます。

インドの人気企業となったTCSは、全世界で61万人が勤務し、ITサービスでは米アクセンチュアIBMと並ぶ規模の企業に成長しました。

TCSは社員の国籍や性別、学歴は一切問わず、各層別の人材育成システムを取り入れ、スキル・実績に応じて年収が上がるジョブ型雇用を全面導入しています。

一方で多くの日本企業は今も年功序列型で人材の多様化にも後ろ向きです。

日本企業の外国人採用面接で「なぜ外国の女性が日本で働くのか」と問われてショックだったといいます。

人事担当者にとっては何気ない質問だろうが、多様性を是としているグローバル企業ではそもそもこのような問いかけは出てこないのです。

日本の大企業にはまだまだカイゼンの余地があります。

日本のインバウンド需要は回復基調にあり、多くの外国人観光客は、「日本は食べ物が美味しく、独自の文化があり、治安もいい。さらに円安で物価も安くなっている」と評しています。

一方で、企業の閉鎖性、内向き志向はなかなか改善されていません。

ダイバーシティや人材育成など人的資本経営のあり方が問われていますが、真のグローバル企業に脱皮している日本企業はまだ少ないと言えそうです。

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