氷河期セミリタイア日記

就職氷河期世代ですが、資産運用でなんとかセミリタイアできました。残りの人生は、好きなことをしながら自由に生きていきます。

年収10倍の住宅ローンを組んだパワーカップルを襲う金利上昇

日本銀行の異次元緩和がまもなく終わろうとしています。

異次元緩和は、いまこの国にあまりにも多くの副作用を蓄積させました。日銀の政策変更にともなって、いまもっとも懸念されているのが「パワーカップル」の住宅ローン問題です。

これをもたらしたのは、金融機関の「モラルハザード」ではないでしょうか。

パワーカップル億ションの悲劇 実際に営業現場で使われている「年収の約10倍」の住宅ローンを勧誘する大手デベロッパーのチラシを多く見かけます。

 

 

金融機関が融資の基準を緩めたのは、企業への融資だけではありません。

異次元緩和のもと、住宅ローンの融資残高は膨張を続けてきました。2022年6月末時点で220兆円を超え、この10年では約40兆円も増えていたのです。

融資残高の規模は、人口が増えていたバブル期の2倍にも膨らみ、とくに30~40代の若い世代の住宅ローン残高の伸びが顕著だということです。

やはりマイナス金利を導入後に、返済計画が杜撰な住宅ローンが増えてきました。

それ以前であれば、住宅ローンは購入世帯の年収の5倍程度がぎりぎりの許容水準だとされていました。

ところが、異次元緩和のもとで金融機関とハウスメーカーが結託して、ハウスメーカーでは甘い返済計画書を提案し、金融機関はその融資を実行しているという事例があまりに多いのです。

これまで地方では、年収の10倍もの融資を受けて住宅を買った人が多かったのですが、近年では都心でも同じような融資が大手の金融機関でも行われています。

パワーカップルを中心に億ションを買うケースが増えているからです。

かつて億ションの購買層は富裕層と決まっていたものの、今では購買層の中心が大企業に勤めるパワーカップルに移っているのです。

 

 

パワーカップル」は富裕層ではないのに、「億ション」を購入するパワーカップルが増えています。

そういった背景もあり、夫婦で住宅ローンを組む比率は、世帯年収が1000万円超の世帯では70%を超えています。

大手の金融機関でも不動産会社と相談のうえ、世帯年収の10倍まで貸し付けるほど基準を緩めており、低金利下の競争激化でリスク管理がかなり疎かになっていると思われます。

今のように技術革新が目まぐるしい時代に、いかなる大企業も20年後、30年後に存続している保証などないからです。

企業にしても住宅購入者にしても、超低金利金利負担が軽かった局面はもうすぐ終わり、金利上昇に対するリスクが大きくなってくると意識しなければなりません。

そもそもいくら低金利とはいえ、購入者に年収の10倍もの住宅ローンを許容するのは、その購入者に破産予備軍になれといっているようなものです。

異次元緩和の副作用として第二に挙げられるのが、政府による放漫財政が定着してしまったということです。

実際に2023年度の政府予算案では、一般会計の総額は114兆3812億円と2022年度と比べて6.3%増え、11年連続で過去最大を更新しています。

税収で返す必要がある普通国債の発行残高は2023年度末に1070兆円に迫り、債務の膨張に歯止めがかかっていないのです。

これは、たとえ政府が野放図に債務を増やしたとしても、日銀が異次元緩和によって国債利回りを極端に低く抑えてれるので、財政の規律を無視しても問題ないという考え方が政治の世界に浸透してしまった結果といえるでしょう。

英国の政府債務に対する深刻な懸念から2022年9月に英国債金利急騰とポンドの急落が起こったという事例をみても、日本の政治に危機感が広がっていないようです。

市場をわかっていない政治家が多すぎる弊害が顕在化するのは、これからです。

市場は持続不可能な財政の悪化に対して、金利上昇によって警告を発するという機能を持っているからです。

 

 

日銀が異次元緩和の修正に向けて舵を切り始めれば、市場の関心は日銀の金融政策から政府の財政運営に移る可能性は低くないといえるでしょう。

「バラマキ」と「放漫財政」 国の財政もモラルハザードをきたしています。

長期金利が1.0%上昇すれば、最終的な利払いは10兆円も増えます。

日銀の財政ファイナンスに依存して政府債務は歴史的高水準で増え続けています。

日本よりはるかにマシな財政状況の英国で金利急騰が起こったというのに、与野党を含め多くの議員がバラマキばかりを主張し、市場の機能の恐ろしさを頭の片隅にも入れていません。

足元では日本ですぐに金利が急騰する状況にはないものの、市場の関心が財政の持続性への懸念を強めひとたび金利が急騰すれば、日本経済は大パニックに陥ることになるでしょう。

過去の歴史を振り返ってみると、財政危機はある日突然訪れるという共通点があります。

決してその点を軽視することはないように、私たちひとりひとりが注意したいところです。

「融資の規律」と「財政の規律」が失われた副作用は、日本の経済・財政を金利上昇に対して脆弱なものに変貌させてしまいました。

異次元緩和で経済成長率を高めようとしたにもかかわらず、かえって経済成長率が低下したばかりか、異次元の債務が積み上がってしまったツケはあまりにも大き過ぎます。

そのツケが大増税として国民に跳ね返ってくることがないように願っていますが、政治の劣化ぶりをみていると、厳しい情勢を想定せずにはいられません。

目先の利益を達成するために、金融機関もメーカーもモラルが崩壊してしまっているといわざるをえません。

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