氷河期セミリタイア日記

就職氷河期世代ですが、資産運用でなんとかセミリタイアできました。残りの人生は、好きなことをしながら自由に生きていきます。

「賃上げ」ムード喜べない非正規労働者の賃金事情

男性雇用者は、50代の中頃までは正規が多いですが、その後、非正規雇用の比率が高まります。

非正規の場合、物価が上昇しても賃金上昇を期待するのは難しいでしょう。

物価高騰が続く中で、賃金がどれだけ引き上げられるかが注目されています。

そして、今年の春闘でどれだけの賃上げが実現されるかが、今後の日本経済の動向を左右すると言われています。

その際に忘れてはならないのは、非正規雇用者の存在だ。これらの人々の賃金は、春闘によってはほとんど影響を受けません。

そして、それらの人々は、全雇用者の中で4割に近い比率(2022年11月では36.8%)を占めているのです。

これらの人々の賃金がどうなるかは、経済全体の賃金動向に大きな影響を与えます。

 

 

非正規労働者は、大きく3つのグループに分類できます。

第1は女性で、女性労働者の53.8%が非正規です。

第2が若年者のアルバイトです。

そして第3が、 50代後半から60代にかけての男性です。

最初の2つのグループは、どちらかと言えば家計補助的な場合が多いですが、第3のグループは、家計を支える役割を果たしています。

以第3のグループについて考えると、男性の場合に、年齢別の正規、非正規の状況を見ると、25歳からは、正規労働者が大部分になります。

そして、この状態が50代前半までは続きます。

ところが、50代の中頃から非正規の比率が高くなって、全体の4分の1程度になります。

このあたりで、正規から非正規への移行が行われていることがわかります。

女性や若者の非正規労働者はパートタイマーが多いですが、この年齢層の男性の非正規労働者は、契約社員も多いのです。

同一の企業のなかで正規から契約社員などへの変更が行われる場合もあるでしょうし、別の会社に転職して契約社員になる場合もあるでしょう。

日本ではいまだに終身雇用が続いていると言われていますが、正規雇用をずっと続けられるわけではないことへの注意が必要です。

年齢別の賃金の状況を見ると、25歳以降、年齢が高くなるほど賃金が高くなります。

日本の賃金が年功序列的になっていることがわかります。

 

 

ところが50代になると頭打ちになり、60代になると、急激に低下します。

これは雇用形態変更の影響だと思われ、50代の半ばごろから非正規社員への移行が行われ、そこで賃金がカットされるのです。

なお、女性の場合、50代半ばで最高にはなるものの、その後に、男性の場合のような急激な低下は見られません。

この年齢になれば、子供が大学を卒業し、就職して所得を獲得し始めるでしょう。したがって、生活費は減少することになるでしょう。

しかし、公的年金の受給は65歳からですから、60代の前半には給料も減らされ、年金も得られないということになり、生活条件はかなり厳しくなります。

現在、公的年金は65歳から支給されることになっていますが、年金の財政事情は今後厳しくなることが予想されます。

それに対処するために、支給開始年齢の70歳への引き上げといった措置が取られる可能性は否定できません。

そうなると、60歳になれば非正規になって賃金が減らされ、しかも年金も得られないという状態になり、その状態が10年間程度続くことになります。

労働力率が低下する(退職する)のは、どの時点かは、年齢階級別の労働力人口比率の数字をみると、65歳以上で大きく低下していることがわかります。

これは、年金を受給して、退職後の生活に入っていることを示しています。

第2に、55~64歳で若干低下していますが、労働力調査では、10歳階級の数値しかわからないので、60歳のところでどう変化しているかは、推測するしかaりません。

仮に55歳から60歳までと60歳から64歳までの人口数が等しく、かつ50歳から60歳までの労働力率が95%であるとすれば、60歳から64歳までの労働力率は84%ということになります。

つまり、この段階で引退する人はごくわずかで、多くの人は60歳以降も働き続けます。ただし、そのかなりの人が非正規になります。

結局、労働力率は、つぎのように推移することになり、59歳まで:95%程度 60歳から64歳:84%程度 65歳以上:35%程度です。

以上で述べたことを年齢別に追えば、つぎのようになります。

(1) 15歳から24歳まで:労働力率は46.6%つまり、約半数の男性が働いています。これらのうち約半分を占める正規雇用者は、高卒の人々でしょう。非正規は大学生のアルバイトでしょう。

(2) 25歳頃には、大学卒業生も就職して働き始め、労働力率は約95%になります。正規雇用者が9割近く、つまりほとんどの男性が働き、そのほとんどが正規です。

この状態が54歳頃まで続き賃金も年齢とともに上昇し、55歳頃に賃金が最高になります。

 

 

(3) 50代の半ばごろから非正規社員への移行が行われ、賃金もカットされます。

59歳頃までは、労働力率は95%のままで、ほとんどの人は、非正規になり賃金が低下しても、働き続けます

(4) 60~64歳では、労働力率が84%に低下し、それまで働いていた人の約12%が引退します。ただし、この年齢では、繰り上げ需給をしないかぎり、公的年金は受給できません。

(5) 65歳になると年金が受給できるので、多くの人が引退し、労働力率は35%程度に低下します。

賃上げの恩恵を受けられる人は、上記のうち(2)に属する人々(25歳から54歳)に限られます。

この年齢階層の男性総人口は、約2340万人です。

それに対して、上記のうち(3)、(4)に属する人々(55歳から64歳)は、働いていても非正規なので、賃上げの恩恵を受けるのは難しいと考えられます。

この年齢階層の人口は約745万人です。そして、65歳以上の人が約1534万人おり、彼らは、賃上げとは無関係です。物価高騰の被害を受けるだけである (年金はインフレ・スライドしますが、マクロ経済スライドが発動されるので、年金名目額はほとんど増えないでしょう。

結局のところ、賃上げの恩恵を受けられる成人男性は、成人男性全体の約半分でしかないということになります。

しかも、(2)に属する人々の中でも、中小零細企業の雇用者の場合には、大幅な賃上げを期待することは難しいでしょう。

したがって、仮に春闘で高い賃上げ率が実現できたとしても、それが日本の状況を大きく変えるとは考えにくいのです。

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