お金というのは人生における選択肢を増やすことのできる手段であり、人生の目的や本質ではありません。
自分自身がお金に対するキチンとした信条を持っていないと、とたんにお金という道具に振り回されてしまいます。
そして今あるお金や年収に満足し、幸せを感じることができるか否かは個々の感性にかかっています。
お金が十分にあれば、多数の選択肢の中から自分にとってベストなものを選択できるようになります。
この際に大切なのは「自分にとってのベストな選択肢」という部分であり、「高いものを選べる」ではありません。
逆にお金がなければ自分にとってのベストな選択ができず、かつ「買える範囲」での選択肢しか持てません。
つまり余裕があれば金額の大小にかかわらず、数多ある選択肢の中からベストを選ぶことができる、ということです。
なお、ベストを選ぶ、というくらいですから、「自分にとってのベストの基準や軸」が明確である必要があります。
ここで、冒頭で触れた幸せを感じることのできる感性、という話につながるのですが、「金額が高いもの=良いもの」であったり、「お金があればあるほど幸せになれる」と、単純に考えているようではいつまで経っても幸せになることはできません。
そういった考え方は、典型的なお金に振り回されている思考です。そしてそのような思考のままでは、いつまでもお金にかかわる不安は消えませんし、お金のために生活をするような本末転倒の状態になりかねません。
反対に手段や道具であるお金に振り回されないヒトというのは、キチンとお金との付き合い方を理解しており、自分なりの生活の軸であったり、物事の善しあしの判断軸や考え方を持っているヒトです。
「お金があるヒト=幸せなヒト」ではないのです。
資産の大小にかかわらず、お金という面で幸せになれるヒトはなれますし、幸せになれないヒトはなれません。
幸せになれるヒトというのは自分の身の丈にあったお金の支出や生活水準、ライフスタイルを理解しています。
つまり自分なりの幸せの基準があり、物事の金額や資産の大小にかかわらず幸せを感じることができる、そういった感性を持ち合わせています。
反対に、幸せになれないヒトは自分なりの人生の軸、つまり幸せの基準、が理解できていません。いつまでたってもお金の面で満足を得られず、不安にさいなまれるというように、自分なりの幸せを感じる感性が足りていないように思います。
そのようなヒトの典型は「いわゆるお金持ち」の「生活の一部」をまさにSNSなんかで見て、「身近である、または自分とそう変わらないであろう(と勝手に自分が考えている)ヒト」と自分のギャップに愕然とし、どこかに自分もお金持ちになれる魔法の杖があるかのように思ってしまいがちです。
「苦労せずお金持ちになった」や「副業などで一攫千金を狙う」というように、「ご自身の今」を変えずに、今の延長線上で「何かが変われば状況が好転する」という他力本願的な考え方を持ってしまっているように思えます。
年収やお金というのは、それそのものを狙って得られるものではありません。
仕事などを通じて相手や世間に自分が提供した価値の対価として得られるのが年収でありお金なのです。その順番を間違えてはいけません。
相手から何をしてもらうか、とか自分に何をくれるか。年収はいくらくれるか、といった自分本位の考え方では、まずお金の面はおろか人間関係の構築においても幸せになれません。
そうではなく、相手に対して何ができるか、社会に対してどんな価値を提供できるかを考え、実行するのかがお金や周囲の人間といい関係を築く秘訣です。
そして本当に意識の高いヒトは他人の真似ではなく、自分の信条とスタイルにあった目標を定め、それに沿って行動をして、小さな結果をコツコツと積み上げることのできるヒトです。
決して一攫千金を狙うのが意識が高い、ということではないのです。
パーティー三昧が、本当に楽しいのでしょうか?
幸せでしょうか?
そしてそれはなぜですか?
そういったことを今一度見直す必要があるのかもしれません。
もちろん、それが楽しい、それが幸せ、という価値観を否定するものではありませんし、他人がやっているから自分もやりたい、ではなく本人が本当に楽しいのであればそれはそれでいいのです。
その判断はあくまでも個々人次第です。
そしてもう1つ、お金持ちを見た際にそのヒトの「今現在の姿」だけを見るヒトはいつまでたっても成功できません。
そうではなく、「なぜそのヒトは成功しているのか」といった、成功の背景や思考を考え、探らないといけません。
どんな生活をして、どんな物を持っていて、どんな消費をしているのか。 そんな表面的なことだけを見ているようでは、何も学びはありません。
どんな思考や意識をもって成功にいたったのか、何にチャンスや価値を見いだし、どんな行動をしているのか、どんな本を読んでいるのか。
そういった背景を探り、自分もまねができる部分がないかを探る。そういったほうが建設的です。いずれにしても、お金に振り回されないように、キチンとしたお金との付き合い方を今一度考えるべきです。
あれば幸せ、なければ不幸せ、ではないのです。
お金は人生における選択肢を増やすための手段ですから、物事の善しあしの判断において、キチンとした軸を自分自身が持っていることが、ベストな選択肢を見極めるうえで大切ですし、いいお金との付き合い方を築く第一歩です。
結局は、他人のまねではなくて、自分オリジナルのライフスタイルや人生における優先順位、価値観を持っていることが大切なのです。