氷河期セミリタイア日記

就職氷河期世代ですが、資産運用でなんとかセミリタイアできました。残りの人生は、好きなことをしながら自由に生きていきます。

海外に出稼ぎする日本の若者たち

年間平均給与461万円から433万円へ、これは、国税庁の「民間給与実態統計調査」で、2000年から2021年までの20年間に日本が辿った平均年収の動きです。

一見、大きな変化もなく、デフレが続いてきた日本だけあってか、国内だけで生活する分には問題がないかもしれません。

しかし、世界規模で眺めてみると、この国は、いつしか「安い国」へと変貌したのです。

そんな中、未来の日本に希望を持てず、海外へ出稼ぎに行く日本人が増えています。

彼らの多くは、「このままでは生きていけない」という危機感を抱いています。

これから日本を出る男女を始め、すでに欧米やアジア諸国で働いている若者たちも多くいます。

 

 

多くの外国人にとっての「出稼ぎ大国」だった日本国内から、労働者が流出する時代が訪れるとは、誰が予想できたでしょうか。

1980年代初頭からバブル経済に突入していた頃、日本はフィリピンや中国からの外国人労働者の受け入れを始めていました。

当時は、経済大国の日本が労働力確保のため、アジア諸国から人材を集め、彼らがより良い収入を得られる環境を提供しました。

同時に、日本の高い技術を学ばせ、いずれは帰国させるという一時的な日本滞在許可を推進してきました。

世界第2位の経済力を堅持していた日本ですが、バブル崩壊による景気低迷に加え、就職氷河期少子高齢化といった構図が経済活動に打撃を与えていきます。

しかし一方の欧米諸国は、2000年代にインフラの傾向が進み、経済危機に直面しながらも徐々に平均賃金を上げていきました。

日本が同じ20年間で平均年収を減らす中、西欧の国々では100万~150万円、米国では250万円近くも所得を上げてきました。

そして気がつけば、日本は中国や韓国に追い越され、人手不足に陥るばかりか、国外との競争力に雲泥の差が生まれていたのです。

日本を訪れる外国人観光客の多くは、「ニッポンは安い」と口にしています。

岸田首相は、「成長と分配の好循環」を声高に主張しますが、一部の日本人は、国内で働くことに強い期待を抱いていないのが現状です。

いつか海外を目指したい日本人の大半は、25歳から35歳くらいです。日本にいたら年功序列があり、駐在員の倍率も高いのです。

海外で経験を積むという夢は、なかなか叶わない問題があります。

海外転職の結果、年収も毎年15%増も普通とのことです。海外での経験を基に、日本の大手企業に再就職する人たちも少なくないといいます。

ただ、うまくいかない人たちも、当然いるようです。

 

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それぞれの事情はありますが、主に二つの傾向が挙げられます。

ひとつは、仕事ができても環境が体質に合わず、長続きしない人。もうひとつは、完璧主義の人はストレスを抱えやすいため、難しいということです。

中には、高収入目当てで海外就職を目指したのではない人もいます。

日本にいるとルールが決まっていて、小さいパイの取り合いです。若いうちに海外に出て、市場の開拓をし、将来のキャリアにつなげることができたという意見もあります。

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外国に出られるなら、どんどん出たほうがいいと思います。だからと言って、飲食店で働いて、大金を稼ぐのもいいけれど、ずっと皿洗いを続けることもどうかと思います。

最終的な自分のキャリアについて、しっかり考えて海外で働くことが大事だと思うのです。

海外に出稼ぎに行く日本人は、今後も増え続けることが予想されます。

実際に出稼ぎに行った日本人の数は不明ですが、外務省によると、海外在留邦人数は、パンデミック前の19年に史上最多の141万人に達したようです。

日本国外で就職したり、短期労働したりすることは、生活の安定にはつながる可能性はあります。

加えて、日本という国を知る上でも、貴重な体験になるはずです。

もちろん、滞在許可や就労ビザの取得は、想像以上に時間を要し、簡単ではないでしょう。

現地の言葉を覚えたり、他文化に触れたりすることで、異なる生き方や価値観を身につけることもできます。

精神面での苦労こそあれ、学びが多いことは間違いないでしょう。

しかし、別の見方をすれば、このままでは日本が衰弱するという危機感が芽生えてきます。

スポーツ選手やユーチューバーのように、海外でも稼げるのであれば、それもひとつの生き方だと思います。

今は昔と違って、国外でも働ける時代になり、生活が苦しい人にとっては、日本経済がどうこうという話ではありません。

外国で収入が増えて安定するならば、それを優先すればいいのではないでしょうか。

 

 

実は、現在の日本と似たような状況が、リーマン・ショック前年の07年から17年まで、スペインやイタリアで起きていました。

史上稀に見る南欧の経済危機で、スペインでは若年層失業率が55%台まで上昇しました。

当時、国外への「頭脳の流出」が社会問題となっていました。

大学や大学院を卒業したスペイン人約8万7000人、同イタリア人約13万3000人が、賃金の高いドイツの首都ベルリンや英国の首都ロンドンへ出稼ぎに行きました。

大手自動車メーカーBMWメルセデスベンツに勤務できた即戦力もいれば、学んだ分野とは無関係なウェイターやベビーシッターとして働く大卒者も溢れていました。

経済危機は、14年に去った後に、スペインに戻った出稼ぎ労働者は、変わらぬ賃金の低さと社風に愕然とし、再び英国に向かったようです。

会社の上司たちの待遇が良く、人として丁寧に扱ってくれる。評価と昇進のスピードも早く、賃金上昇率もスペインでは考えられない高さだったとのことです。

この状況は、日本の将来を映し出す鏡にも見えます。

デフレ経済から抜け出せず、賃金が一向に上がらなかった20年間のツケが回ってきました。

日本人は、当時のスペイン人のように、より良い給料と環境を求め、国外に出ます。

しかし、彼らが日本に戻ってくる時、生活水準や賃金レベルは改善されているのでしょうか。

労働者にとって、魅力のある国にならなければ、人々は国外に留まり、そこに永住する選択肢を取るでしょう。

それを防ぐためにも、日本はまず、賃金アップを最優先課題にするべきです。さもなければ、日本経済の未来に発展はないかもしれません。

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