氷河期セミリタイア日記

就職氷河期世代ですが、資産運用でなんとかセミリタイアできました。残りの人生は、好きなことをしながら自由に生きていきます。

俺が残業するんだから、お前も定時で帰るな!日本人が残業する理由

働き方改革」という言葉も浸透しつつあるなかで、私たちの「働き方」は今後どのように変わっていくのでしょうか。

波平さんの勤め先はホワイト企業なのかもしれません。 昭和時代が舞台のアニメ「サザエさん」では、作中に描かれる家族の生活は、現代の平均的な暮らしと比べ豊かなものに見えます。

一戸建ての持ち家に2世帯暮らしで母と娘がどちらも専業主婦というのは、現代の都会なら相当に裕福な暮らしです。

必ず家族全員揃って夕食をとるというのも、忙しい現代人にはなかなかハードルが高いでしょう。

そして磯野家の大黒柱である波平さんと婿であるマスオさんの働き方も、現代人には羨ましく見えます。

朝の何時に出勤しているかよくわかりませんが、少なくとも日が落ちる前には退勤しています。

 

 

退勤後には、よく上司や同僚とお酒を飲んでいます。もしかしたらあるのかもしれませんが、波平さんが残業しているエピソードを私は見たことがありません。

サザエさん」の世界では1日8時間労働が遵守されているようです。

「1日8時間、週40時間労働」は、現代の日本の労働基準法で定められているものです。

法の上では、日本の労働者は全員、波平さんやマスオさんのような働き方をすることが保証されています。

しかしいったい、どれだけの人が実践できているでしょうか。

時間外労働が習慣化してしまっている人も多いのではないでしょうか。

例えば夜の9時まで残業したら、家に帰るのは10時を越えてしまう。風呂に入って、ご飯を食べ、家事をして、少しテレビを見たりスマホを触ったりしたらもう寝る時間です。

寝るために帰宅しているような人も少なくないと思います。

日本人が諸外国に比べ長時間労働をしていることは、高度経済成長期から常識のように言われてきました。

特に、昔の日本人の労働時間は今よりもずっと長かったことがデータからわかります。

厚生労働省の資料(「毎月勤労統計調査」)によると、昭和35年(1960年)、労働者一人あたりの平均年間総実労働時間は2426時間。2426時間を単純に12で割ると202時間で、1か月22日働くとすると、1日の労働時間は9時間以上にもなります。

盆休みや正月休みなどの連休を考慮すると、もっと長いかもしれません。

 

 

一方で、平成21年(2009年)には1777時間となっており、参照元は異なりますが、OECDのデータによると2020年には1598時間にまで減っています。

しかし、厚生労働省の資料「総労働時間の推移」には、「平成8年度頃から平成16年度頃にかけて、パートタイム労働者比率が高まったことが要因となって総実労働時間は減少傾向で推移してきた」と記載されています。

こうなると話が変わってきます。フルタイムの労働時間は年間1598時間よりもはるかに長いことが予想されるからです。

それに、申告されない「サービス残業」の時間を入れるともっと長くなるでしょう。胸を張って「労働時間が減った」とはとても言えない状態です。

なぜ、日本企業の労働時間は長いのでしょうか。さまざまな観点での分析がありますが、ここでは日本人のメンタリティと組織構造から検討したいと思います。

日本人は伝統的に「滅私奉公」、私よりも公を優先する意識が強くあります。「同僚に負担をかけるのが申し訳ない」という理由で休暇をとらないメンタリティは、強い公的意識に基づいています。

そしてお互いに「俺が休んでいないんだから、お前も休むなよ」「俺は残業するんだから、お前も定時で帰るなよ」と、公的意識を強要し合う。そのため、休みをとったり定時で帰ったりすることが悪であるかのような感覚に陥っていきます。

一方で日本型組織では、出世すると自らの権威を高め、「公」における「私」の度合いを増大させることができます。

 

 

部下を趣味などの私的な活動に強制的に動員させる、業務割り振りを自分の一存で決めるなどです。

朝遅い時間に出勤することを「重役出勤」と言ったりしますが、偉くなるとルールから逸脱する行為が集団内で許容されるわけです。

このようなあり方は、曲りなりにも四民平等となった明治期を通じて形成されました。

福沢諭吉の『学問のすゝめ』などのベストセラーでは立身出世が勧められ、才覚でのし上がることが社会的にも容認されていきます。

明治後期になると学歴や家柄などによる社会身分の固定化が進んではいくものの、明治政府は立身出世を公的に認めることで下層民のエネルギーを反体制に向かわせることなく逆に利用し、近代化の推進力へと変えました。

しかし、現在は昔のように出世してもわがままが許されなくなってきています。出世競争に勝つことで手に入れられるインセンティブの一つが消滅したので、労働者が私を犠牲にして長時間労働する理由はもはや失われています。

しかし、「ヒラ社員のうちは文句を言わず残業しろ」といった風潮がいまだに残っている企業は少なくないのではないでしょうか。

このように、働き方は伝統的なメンタリティや組織構造に大きく影響されます。

労働時間への意識、組織構造や雇用形態を比較しながら、どのように「働き方」が発展してきたのか、歴史を紐解きながら見ていくと面白いかもしれません。

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