食物繊維は、水に溶けるか溶けないかで、2種類に分けられるのが一般的です。
腸内を善玉菌の居心地のいい環境にしてくれるのが、水に溶けない「不溶性食物繊維」です。
善玉菌にとって居心地のよい快適な空間というのが、便がたまっていない環境です。
便がたまってしまうと、便がエサとなって悪玉菌が増え、善玉菌にとって居心地の悪い環境になってしまいます。
不溶性食物繊維は、水分などを吸収する性質を持っており、
・水分や老廃物などを吸着して、便のかさを増やす
・腸を刺激して蠕動運動を活発化し、排便を促す
といった2つの効果があります。
つまり、便を排除し、腸を善玉菌にとってすみ心地のよい環境にしてくれるのです。
不溶性食物繊維は、にんじんやごぼうといった根菜類、小麦、ライ麦といった穀類、ほうれん草、レタスといった葉物の野菜、枝豆などの豆類、きのこなどに含まれています。
そして、善玉菌のエサとなるのが、もう1つの食物繊維「水溶性食物繊維」です。水溶性食物繊維は、昆布、わかめ、こんにゃく、里いもなど、ネバネバ、ヌルヌルしたものやごぼうなどに多く含まれています。
水に溶けるとどろどろのジェル状に変化し、善玉菌のエサになるだけでなく、便をやわらかくして出やすい状態にもしてくれます。
先ほど、発酵して、腸を含めた体にいい物質を生み出すのが善玉菌と説明しましたが、ほとんどの水溶性食物繊維が、そのいい物質を生み出すための善玉菌のエサとなります。
最近では、このような善玉菌のエサとなる食物繊維を「発酵性食物繊維」とも呼ぶようになっています。
つまり、「この2種類の食物繊維を摂取するということが大切」ということなのですが、そのほか、最近、注目を集めているのが「レジスタントスターチ」です。
レジスタントスターチは、「消化されない(レジスタント)」「でんぷん(スターチ)」という意味で、その名の通り、食物繊維と同様、消化されずに大腸まで届いて作用してくれます。
そのすごさは、「不溶性と水溶性(発酵性)、2つの食物繊維の機能を兼ね備えている」ところです。
善玉菌がすみやすいように腸をきれいにし、なおかつエサとなり元気にさせる、まさに「腸活の二刀流」といった働きをみせてくれます。
その効果から、食物繊維を超越しているという意味合いを込めて「ハイパー食物繊維」という異名を持っています。レジスタントスターチは、大麦などの穀類、さつまいも、じゃがいもなどのいも類、米にも多く含まれています。
バナナを食べる腸活、名付けて「バナナ腸活」をおすすめする理由が主に2つあります。
1つが、バナナは、不溶性、水溶性(発酵性)の2種類の食物繊維を含むだけでなく、このハイパー食物繊維「レジスタントスターチ」を多く摂れるという点です。
主食であるパンやごはんにも、レジスタントスターチが含まれています。
ごはんは冷やすとレジスタントスターチが増えるという話を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
バナナは成熟具合によって、レジスタントスターチの量が異なるので選び方にはちょっとした工夫がいりますが、毎日摂取しやすいそれらの主食と比べると、より多くのレジスタントスターチが含まれています。
ただ、単純に量でみると、ごぼうのほうが不溶性も水溶性(発酵性)も食物繊維の量が多いです。また、特に、ふかしてから冷やしたじゃがいもなどには、バナナよりもレジスタントスターチが多く含まれます。
でも、ごぼうを使った料理を毎日考えて作って食べたり、ポテトサラダなどのふかしてから冷やしたじゃがいもを使った料理を毎日作ったりするのは、手間がかかります。
先にあげた発酵食品も同様です。食べ続けられる人は、ぜひ意識的に食べ続けてほしいのですが、しんどいと、続かないのです。続かないと意味がないのです。
「バナナ腸活」をおすすめする理由の2つ目が、食べやすさです。
どんなに効果がある方法でも、途中でやめてしまえばその努力が水の泡となってしまいます。
その点、バナナなら洗わず、包丁もいらず、皮をむけばすぐに食べられます。持ち運びもしやすいので、仕事先や外出先でも食べられるのです。
しかも、スーパーやコンビニなどさまざまなところで手ごろな値段で売っていて、全国どこでも1年中手に入ります。
実は、このように手軽にいつでもどこでも食べられる食材は、そう多くはありません。
さらにいえば、バナナは、よく食べる果物ランキングで継続して1位をとるほど、老若男女が味になじみのある、食べやすい食材です。
腸内環境の改善には「腸活を継続すること」がとても重要です。
使い勝手の面からも、入手のしやすさの面からも、味の面からも、継続しやすいバナナこそ、本気で腸を整えて元気にしたい人に、おすすめできる食材です。
バナナ腸活のやり方について、まず、1日にどれだけ食べればいいのでしょう。
健常な成人男女20名を対象に実験を行いました。1日2本のバナナを食べる・食べないの2つのチームに分けて、腸内環境、ストレス症状、免疫の状態、自律神経の活動、気分のアップダウンなどメンタル面が2週間でどのように変化するのかを検証すると、約半数の方々に、次のような結果が得られたのです。
・腸の環境改善
・自律神経の活性化
・ストレス改善
・気分改善 という4つの効果が見られました。
今回、2週間の「バナナ腸活」によって、両方(交感神経・副交感神経)の自律神経が活発化された状況に近づいたというわけです。
さらに、副交感神経が優位に働いている=リラックスした状態になっているというのは、ストレスがたまりやすく、交感神経が優位に働きやすい時代において、非常によい結果が出たといえます。
また、腸や自律神経が整うことによって、ストレス改善があったのです。
「病いは気から」といいますが、メンタルの不調は体の不調の現れでもあり、メンタルが改善したということは、腸を含め、体が健康に向かっている証拠ともいえるのではないでしょうか。