氷河期セミリタイア日記

就職氷河期世代ですが、資産運用でなんとかセミリタイアできました。残りの人生は、好きなことをしながら自由に生きていきます。

年金45年納付延長の行く末は「死ぬまで働け」ということ

政府が国民年金(基礎年金)の保険料納付期間の延長を検討していることが明らかになりました。

仮に延長されても「高収入のサラリーマン世帯以外は恩恵をこうむる」と喧伝されるが、本当でしょうか。

今回の延長案で裏に秘められた政府の“真の企み”があります。それは国民を「死ぬまで働かせる」ことです。

少子化による人口減少で将来的に年金財政が破綻することは、もう確定でしょう。

これから日本は加速度的に若者人口が減っていきます。受給者が増え、年金の原資となる現役世代の数が減るということです。

年金制度を維持するなら、受給額を減らすか、受給年齢を遅らせるしか方法はありません。

 

 

さらに、年金の一部は株などのリスク資産で運用されていますので。株が暴落などした場合は、そのツケは国民に回ってきます。

独身の方は受給前に死んだ場合、払った年金は戻ってきません。

独身男性は寿命が68歳と言われており、これ以上受給年齢が上がれば、年金を払う意味がなくなります。

セミリタイア民が数多く国民年金全額免除しているのも、払い損になることを察知しているからでしょう。

現行の国民年金の納付期間は40年(20歳~59歳)ですが、これを45年(20歳~64歳)に延長するべく、10月25日、厚労省の年金部会で議論がスタートしました。

いまの年金制度は全国民が加入する国民年金と、報酬比例部分にあたる厚生年金の「2階建て」構造となっており、主に自営業者らは国民年金に、会社員や公務員は厚生年金にも加入しています。

延長議論の背景には、年金の支え手となる現役世代の減少に歯止めがかからない「少子高齢化」の問題があります。

2025年に団塊世代が75歳以上となり、40年には団塊ジュニア世代も65歳以上に突入し、高齢者人口は4000万人に迫ると予測されているのです。

このまま行くと2040年代半ばに基礎年金の受給水準は現役世代の平均手取り収入に比べて約3割減ると試算されています。

しかし、厚労省は納付期間を5年延長すると、受給額が現在とほぼ同じ水準に保たれると説明しています。

加入期間が延びることで収入が安定し、国民共通の基礎年金に厚みを持たせることができるため、自営業者だけでなく、会社員などにもメリットがあるとされています。

 

 

厚労省によれば、延長で受給水準がいまより下がるのは年収1790万円を超えるサラリーマン世帯だそうです。

本当なら多くの国民にとって朗報のはずですが、実は厚労省は肝心な点を説明していません。

払った分だけ給付に回らないカラクリがあります。

今回の延長案では、これまで加入期間にカウントされていなかった60歳から64歳の間も新たに保険料を払う必要が生じるため、自営業者やフリーランスだけでなく、60歳で再雇用などを選ばずにリタイアした会社員にとっても負担増となります。

今年度の国民年金保険料は月1万6590円ですから、年間で約20万円。納付期間が5年延びれば約100万円の負担となる計算です。

60歳を機に仕事を辞めると、基本的に収入は途絶えるため、貯蓄などから保険料を払わざるを得ません。

その場合、社会保険料控除の恩恵を受けられない点には留意が必要です。

まるまる100万円の負担増となれば、老後の人生設計の見直しを迫られる人が出てきてもおかしくありません。

さらに国民年金を40年間納付した場合の受給額は月約6万5000円ですが、5年間、余計に払った分がそのまま受給額に上乗せされるわけではありません。

理由は、年金支給額の伸びを物価や賃金より低く抑える“マクロ経済スライド”が導入されているためです。

保険料の引き上げを抑制する代わりに支給額も抑える仕組みのマクロ経済スライドは、国民年金では少なくとも2046年まで続くと試算されています。

同スライドによって今後、払った保険料に対する受給額は実質目減りしていくと考えたほうがいいでしょう。

 

 

すでに厚労省は19年の年金財政検証時において「納付5年延長」案をシミュレーションしていたといいます。

つまり今回の延長方針は既定路線なのです。

同年の検証では、厚生年金の加入年齢上限を現在の70歳から75歳にまで引き上げるプランも示されています。

厚生年金保険料率はすでに18.3%で固定されているので、保険料収入を増やすには加入者の母数を増やす以外に手は残されていません。

国民年金の延長案と併せて、これらが意味するものは、政府が国民に向けて“年金で老後を悠々自適に暮らすのはもはや難しいので、体の動くうちはずっと働いてくださいということです。

そのうえで保険料もきちんと納めて年金制度の維持に貢献してください”との隠れたメッセージを発しているのです。

年金の財政検証は5年に一度行われ、次回は24年に控えます。

その時、国民年金の納付期間延長案とともに、厚生年金の加入年齢引き上げもセットで検討される見込みといいます。

一番の問題は、本来は納付期間の延長は年金財政の安定に寄与する方策のはずが、国民の大半は逆に不安と不信の念を強めている点です。

今回のように、国民から“制度を延命させるための対症療法に過ぎない”と見透かされる弥縫策(ひぼうさく)を繰り返すばかりでは年金不信を強める悪循環に陥るだけです。

もはや年金は国民に安心感を与えられない制度に成り下がってしまったことを政府は強い危機感とともに自覚すべきです。

臆面もなく「100年安心」などといった“大風呂敷”をよく広げられたものです。

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