次の就職先を決めずに仕事を辞めるのは、危険に思えるかもしれません。
しかし、資金の備えがあれば、人生やキャリアを前進させる一歩にもなります。
コロナの感染拡大で仕事や働き方について人々の考え方が変わる中、アメリカの離職者数が過去最多になりました。
ほかにもっと良い正社員の働き口を見つけるために仕事を辞める人もいれば、一時的にせよフルタイムで働く生活から完全に離れる人もいます。
仕事を辞める前に準備すべき、お金について説明します。
① 財産目録を作る
仕事を辞める前に、いくら資産があるのかを把握しましょう。
固定費や変動費、定期的に支払うお金、自由に使えるお金 はどのくらいか調べましょう。そうすることで、仕事を辞めてもやっていける経済状態にあるのか判断でき、少なくとも辞める前に何をすべきかが分かります。
企業はキャッシュ・フロー計算式を使って閑散期に備え、事業費やその他支出を賄えるだけの現金を手元に置きます。
個人でも、退職したら毎月いくら手元にお金が残るのかを割り出すことができます。
次の計算式から1カ月間のキャッシュ・フローを予想してみましょう。
月初の現金残高 + 当月の予想収入額 - 当月の予想支出額 = 月末の予想現金残高
仕事を辞めたらフルタイムのときと同じ額はもらえませんが、副業や配当、その他の収入を得ることはできるかもしれません。
どの支出を切り詰めるのか、生活スタイルを変えるのか、あるいは不労所得を増やすのかを決めなければなりません。
また、借金がいくらあり、定期的に入る給料がなくなったら毎月どうやって返済するのかも考えなければなりません。
借金が少しなら別ですが、多額の、特に金利の高いクレジットカードでの借入があるなら、借金を完済するまでは完全に仕事を辞めるのではなく、パートタイムに変わるなど考えたほうが良いでしょう。
②予算を立て、予算を守る
定収がないならば、自分のライフスタイルに合った予算を立てそれを忠実に守らなければなりません。
支出を管理し、どこにお金を使っているのかを把握するには、スプレッドシートで全体的にお金を管理するのが簡単です。
予算スプレッドシートを、収入、必要経費、好きに使えるお金、毎年支払う費用、貯金に分けるのです。
仕事を辞めるのだから、自分の資産の中でやりくりすることが重要です。
まずは収入源をひとまとめにして予算の土台を立ててみましょう。
先ほどキャッシュ・フローを計算したときにこの数字はすでに計算しているはずです。 ここから必ず払わなければいけない必要経費と、好きなものに使えるお金を差し引きます。
このとき、年金の掛け金や自動車保険といった毎年支払う費用も忘れないようにしましょう。
残った金額が貯金に回せるお金です。
全く残らないか赤字になる場合には、自由に使えるお金を減らすか、収入を増やす方法を考えてみましょう。
③貯金を第一に考える
貯金はとても大事です。
特に仕事を辞めようと思っているならなおさらです。貯金なんて後回しと考えるかもしれませんが、それは間違いです。
健全な財務計画の第一歩は緊急時の資金を貯めることです。
シングルインカムの家計ならば、最低でも6カ月分の経費を貯金しておくべきです。
緊急時の資金を貯めた後は、それを別にして高利回りの預金口座に入れておきましょう。
緊急時の資金はすぐに使えるようにしておくことです。
即座に解約できないような定期預金や商品に投資するのはやめた方が良いです。加えて、退職後の資金を貯めることも考えるべきでしょう。
専門家は、リタイア後に十分な資金を貯める最も良い方法は、収入の10~15%を貯金に回すことだといいます。
しかし、それほど多くなくても、毎年1%でも貯めていく方が良いです。
少額から始めれば、退職後の資金が徐々に増えていく楽しみを感じられます。
④新しい生活スタイルに慣れる
自由に使えるお金を減らして、自分の身の丈に合ったリタイア後の資金計画を立てると、日常生活に使うお金はほとんど残らないように感じるかもしれません。
仕事を辞めた後の新しい生活スタイルに慣れるための方法はいくつかあります。
・安い店で買い物する
・高額の買い物はセールになるまで待つ
・貯金、退職後の資金、請求書の支払いなどを自動引き落としにして、支出を気にしないようにする
・小さい家に引っ越しする
・新しいことを見つけて張りのある生活をする
⑤他の収入源で生活を補填する
仕事を辞められるだけの十分な貯金があっても、別の収入源を確保したほうがよいです。
1つは、フリーランスや配当といった別の収入源があれば、貯金や退職後の資金が増えます。
もう1つ、仕事を辞めた後に副業をすることで資金に余裕ができて、自由にのびのびとお金を使えるようになります。
ブログを書く、ネットで物品を販売する、フリーランスとして働く、ソーシャルレンディングなどこうした副業による収入があれば、たとえ十分な貯金がなくても不足分は補えます。
また、毎月100ドルを販売手数料の低い上場投資信託 (ETF)や不動産投資信託 (REIT) に投資することで、それほど手間をかけなくても貯蓄を増やし、分配金収入を得られます。これもマネーのプロが勧める手法です。
コロナ禍で離職する人が記録的な数に上っており、米国では大退職時代(Great Resignation)が訪れています。日本はアメリカに10年遅れると言われています。いずれ日本もそういう時代が来ますので、その波に乗る前に、必ず備えを固めましょう。