氷河期セミリタイア日記

就職氷河期世代ですが、資産運用でなんとかセミリタイアできました。残りの人生は、好きなことをしながら自由に生きていきます。

新型コロナ給付金詐欺の容疑者7割が20代以下

新型コロナウイルスの感染拡大で、売り上げが急減した事業者の救済のために支払われた持続化給付金です。

総額5.5兆円の大規模支援となりましたが、警察に検挙された不正受給の容疑者も3770人(5月末時点)と空前の規模にのぼっています。

大規模経済対策ということで、過去に例をみない規模で国庫が投入され、しかもその支給を迅速に行うという圧力に政府や関係機関がさらされていたことが大きいと思います。

東日本大震災の時にもかなりの支援金や義援金が出ましたが、被災者に限定されていました。

 

 

また、給付金制度がスタートした直後から、これまでに検挙された主犯格の容疑者たちが一斉に動き出していたこともあります。

嗅覚のある人たちにすれば「これはいける」と分かったのでしょう。名義貸しをした共犯者の側も、コロナ禍の不安のようなものが背景にあり、「もらえるものならもらっておきたい」という心理が広がっていたのではないでしょうか。

これまで不正受給で検挙された全容疑者の7割を20代以下の若者が占めています。20代の若者は、給付金というものが何なのか、よく分かっていません。

年長者などから唆されると、詐欺の意識がないまま、「自分ももらわないと損だ」と思って申請してしまったのではないでしょうか。

今の大学生は仮想通貨やFXなどに投資している人も少なくありません。お金をもうけることに積極的です。

同年代のユーチューバーやIT起業家が億単位のお金を稼いでいる一方、普通に就活して年収1千万もらっても勝ち組ではないという意識も見え隠れします。

同じ詐欺でも、個人をだますのと、公金をだまし取るのとでは後ろめたさが違ったのでしょうか。

お年寄りから老後資金を巻き上げる振り込め詐欺は、誰もが多かれ少なかれ、良心の呵責にさいなまれるはずです。

ところが、国が広く国民にばらまこうと予算を組んでいたものを不正受給するとなれば、罪の意識は格段に薄くなるのかもしれません。

しかも主犯格から唆されたような場合は、名義や口座や免許証などのコピーを渡すだけで、全部向こうでやってくれるわけです。

自分は手を汚さずに済むわけですから、さらに罪悪感は軽くなります。唆す側は名義を貸してもらう人に罪悪感を取り払うようなことも言います。

常套句としてよく使われたのが、「不正が認められるような場合は審査ではじかれる」というフレーズです。

 

 

申請してはじかれずに審査を通ったということは不正ではなかったと当局がお墨付きを与えたようなものだというわけです。

名義貸しとなる人を集めたセミナーなどでは、そういった言い方がよくされていました。赤信号、みんなで渡れば怖くないという心理になったのでしょう。

持続化給付金の不正受給は、国税職員でなければ知りえないような高等テクニックが必要だったわけではありません。

彼らは「意外に簡単にできる」と察知するのが、早かったのだと思います。不正申請では、ありもしない前年の売上をでっち上げて税務署に申告するわけですが、税務署は売上を隠したり過少申告したりすることには目を光らせています。

しかし、売上の申告自体にはあまり関心がないということを、国税職員なら見抜いていたのかもしれません。さらに言えば、国税職員や税理士といった肩書は、若い人たちを信用させ、唆すにはとても有効だったはずです

警察が摘発に力を入れるようになると、不正受給の返還ラッシュが始まりました。経産省が発表した返還総額は、6月23日時点で約166億円にのぼります。

公的な支援金や補助金の場合、支給額全体の1割ぐらいが不正だったり、グレーだったりしてもおかしくないそうです。持続化給付金の場合、被害額はもっと増えるでしょうし、返還額も増えると思います。

事業者の早期救済を優先するあまり申請手続きを簡素化したことが、犯罪を誘発したといわれています。これは全て政治と行政の責任です。

不正をたくらむ人にとってはすごく簡素だったのですが、まじめに申請しようとする事業者には手続きはそこそこ煩雑でした。例えば、郵送で確定申告した人には控えの書類が手元にないので、いったん税務署に足を運んで収受印をもらわなければなりません。

また、減収の理由がコロナかどうかの判断も自分の解釈次第でした。だから、ずるい人は明らかにコロナじゃないと分かっていても申請しましたし、逆に正直な人や謙虚な人は「コロナではなくて他の原因だ」と断定して申請しなかった人も少なくありません。

 

 

経済は、「風が吹けば桶屋が儲かる」というところがあり、売り上げの減少がコロナかどうかはなかなか裏付けにくいのです。あれだけまん延していたのですから、そこだけを厳密に確認する必要はなかったのではないかと思います。

個人事業者の多くは零細事業者です。そういう人たちを迅速に支援するのであれば、全員への一律給付という選択肢もありえたと思います。

一律給付なら、申請者は書類を準備する時間もかからず審査自体も簡素化されたはずです。審査は一定以上の給与所得をもらっていないかどうかだけをチェックすればいいだけです。

仮に全国の個人事業者が198万人(2016年6月時点)だとした場合、全員に給付限度額の100万円を支給したとしても、1兆9800億円で済んだわけです。

給付金の支給方法の問題点を巡っては、専門家によってさまざまな議論がありますが、こんなに不正が広がってしまった根本的な原因は、実施主体の中小企業庁国税当局とまったく連携していなかったことにあるのは間違いありません。

不正申請の手口の多くは、前年の売上台帳の金額を実際よりも過少に申告するというものです。

これは売上台帳の内容が、実際の税務申告ときちんと整合性が取れているか、チェックすればすぐに不正は見抜けたはずです。

もし中小企業庁と税務署が連携していれば、事後的にでもチェックして防ぐことができました。

もし両機関の連携を巡って何かタテ割り行政の弊害や法律の壁などがあったのだとすれば、それこそ国会などで対応策を取った上で措置すればよかったのではないでしょうか。

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