氷河期セミリタイア日記

就職氷河期世代ですが、資産運用でなんとかセミリタイアできました。残りの人生は、好きなことをしながら自由に生きていきます。

年収200万円では豊かに暮らせない

日本には「手取り年収200万円」の人がどのくらいいるかを統計上のデータで調べる場合、税や社会保障を引く前の数字が多く、手取り額ではないので、手取り年収200万円の人は、実際には額面300万円台の人でしょう。  

まず「国民生活基礎調査」(厚生労働省)を見ると、2019年のデータで、平均所得金額は552万3000円、所得を並べて2等分した中央値は 437万円です。

高所得者が平均を押し上げているので、この中央値以下に入る世帯の割合が大きいのです。  

さらに所得の分布状況を見ると、「200万~300万円未満」が13.6%、「300万~400万円未満」が12.8%。家族構成にもよりますが、額面370万円、380万円でも手取りでは200万円台に入ることもあります。

 

 

日本には年収200万円以下で働いている人たちが約1200万人いるといわれています。1998年から2020年までのおよそ20年間で、その数は371.3万人も増加しています。非正規雇用、女性、高齢者の増加が影響しています。

さらに、日本の相対的貧困率は、1985年には12%でしたが、2018年には15.4%となり、実に6人に1人が「相対的貧困」となっています。

割合を見ても、決して少ないわけではありません。  

なお、この調査は働いている人も年金世帯も含んでいますが、働いている世帯が全体の7割以上を占めます。

そのため年金生活者が年収が低い世帯の割合を上げているわけではないようです。  

もう少し新しい数字として、国税庁民間給与実態統計調査」(数字は令和2年度)によると、基礎調査とは異なり、世帯ではなく一人当たりですが、給与所得者の1人当たりの平均給与所得は433万円で、男性532万円、女性293万円です。

それを細かく見ていくと、300万円超400万円以下が913万人(構成比17.4%)で最も多く、次いで200万円超300万円以下の者が814万人(同15.5%)となっています。

これを見る限り、「手取り年収200万円」は多くの人にとって相当現実味がある数字といえます。

手取りで200万円台だった場合、ひと月に使えるお金は、年間のボーナス2カ月分含むと想定して、200万円を単純に14で割れば約14.3万円です。

 

 

200万円台の上限を290万円とすると約20.7万円です。

手取り月収がこの金額だと、家賃が高い都市圏ではかなり苦しいです。  

可処分所得が低くなれば、それに応じて安いものを求めるニーズは増えますが、インフレ・円安下での生活は苦しくなるばかりです。

先の「民間給与実態統計調査」の業種別平均給与を見ると、最も給与水準が低い業種の平均給与は251万円で、「宿泊業・飲食サービス業」です。

2020年の数字のためコロナの影響を受けているのかと思えば、その前の調査でもほぼ同じ数字でした。

つまり、安い飲食提供はそこで働く人の安い給料で支えられているともいえます。  

安さを追求するとどんなことが起きるでしょうか。製品の安さは、やはり安い賃金を養分として存在します。

これではどちらも豊かに暮らすには難しいのです。

「いいインフレ・悪いインフレ」という言葉を聞きますが、いい安値があるとすれば、例えば、賞味期限間近な食品に特価をつけるとか、大量に現金払いで買い付けることで価格交渉し、そのぶん売価を下げるなどの根拠がしっかりある場合です。  

しかし、消費者が使えるお金が増えず、価格だけでなく回り回って給料を上げられない現状は悪い安値でしかありません。

年収200万円でも暮らせる世界では、やはり良くないのです。

先の森永卓郎氏が2020年に出した本のタイトルは『年収200万円でも楽しく暮らせます』でした。

200万円で豊かではまずいとして、楽しく暮らせればいいのでしょうか。  

もちろん、お金を使わなくても楽しむことはできますし、愛着のあるモノを手入れしながら長く使うことも良いことです。

 

 

しかし、やはり衣食住が足り、いざという時に頼れる貯蓄がわずかでもなくては、なかなか余裕を持った楽しい心境とはなれません。  

手取り年収200万円はリタイアしたシニア世帯ならありかもと思いましたが、教育などもあり出費も多い現役世代は苦しいと感じるでしょうし、これまでほとんど上がってこなかった賃金に対して怒るべきです。

現役時代の収入は将来の年金に反映されるわけで、収入が少ないと老後の生活にも影響するからです。  

共通ポイント「Ponta」会員へのアンケート調査によると、2022年のボーナスの使い道に貯蓄をあげた人のうち、57.4%がその使い道を「老後への備え」と答えています。

同じ答えをした割合は2020年の調査では48.8%だったので、2年で9ポイント近くも増えたことになります。

給料が増えると期待できないために、老後に備えて貯めたい人が増えているとなれば、ますます消費はされません。  

お金がない人には払える金額分だけ売ってくれということです。ガソリンを1000円分だけ入れてくださいというようなイメージでしょう。  

肉を200gくださいではなく400円分くださいとか、ビールを100円分くださいとか――そんな店ばかりが並ぶような未来が来るとすれば、あまり楽しくありません。

値上げされた商品を定価で買えるだけの収入を得られない国にならないことを祈るばかりです。

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