日本人の場合、集団での和を乱さないためにも、他人の顔色をうかがい、他人の行動や言葉に目を光らせ、自分と比べるなどの傾向が強いと言えます。
コロナ禍で出現した自粛警察と呼ばれる人たちも、自分は自粛のルールを守っているのに、それを守ろうとしない奴がいるという怒りが行動の元になっています。
つまり、「他人と比較してしまう心理」が原因にあるわけです。 人間は、他人と自分を比べたときに自分が優れていると「優越感」を抱きます。
その逆に、自分が劣っていると感じたときに「劣等感」を抱きます。
劣等感は強烈なネガティブな感情なので、それを何とか払拭したいという衝動にかられます。それを、悪口や誹謗中傷という形で表現したくなるのです。
悪口や誹謗中傷を言うことで、相手をおとしめることができます。自分対相手との比較において、相手を引きずり下ろすことによって、自分の価値を相対的に高めることができます。
それによって、内なる劣等感を緩和しようという心理が働いてしまうのです。
自己肯定感が低い人ほど自分に自信が持てません。
そういう人は、自分対相手との比較において、自分が劣っていると感じやすい傾向があります。実は自己肯定感の低い人ほど悪口を言う傾向にあるのです。
自己肯定感が高い人は、自分の考えや行動に自信を持てます。他人にとやかく言われても、その考えや行動はゆらぎません。
相手と自分をいちいち比較することもなければ、悪口を言うこともないのです。
周りに悪口好きな人がいたとしても、「自己肯定感が低いとっても残念な人」なんだなと上手に聞き流すことができるはずです。
悪口は「依存症」である 一方で、悪口が好きな人はなぜそれをやめられないのは、誰かの悪口を言うと、やる気や快楽に関与するホルモン「ドーパミン」が放出されます。
ドーパミンが出ると楽しい気分になります。つまり、悪口を言うことは基本的に楽しいことなのです。
しかし、ドーパミンは欲張りな脳内物質でもあり、一度放出されると「より大きな刺激」を求めるようになります。
つまり、悪口の回数を増やしたり、より過激な悪口を言わないと、新たにドーパミンが出ず、楽しい気分になれなくなってしまうのです。
結果、悪口を言うことが癖になって、なかなかそれを改善しづらい状態に陥ります。悪口を言えば言うほど深みにはまります。
これはアルコール依存症や、薬物依存症と同じ原理です。「悪口は依存症」と言っても、遜色ないのです。
多くの人は、悪口は「ストレス発散になる」と思っているでしょうが、実際は逆です。悪口はストレスを増やします。
最悪の場合、脳を傷つけ、寿命を縮める危険性もあります。
世間や他人に対する皮肉・批判度の高い人は認知症のリスク、死亡率が高い結果になることも研究されています。
批判的な傾向が高ければ高いほど、死亡率は高まる傾向にあったそうです。
また、悪口を言うと、ストレスホルモンであるコルチゾールが分泌されるため同時にストレスも感じているのです。
ネガティブな感情に対しては、人はネガティブな感情を返したくなるものです。
「倍返しだ!」とやり返してしまうのが、悪意の返報性です。そして人に悪口を言うと、やはり悪意の返報性で悪いものが帰ってくるのです。
本人がいないから悪口を言っても大丈夫と思っていても、よく悪口を言う人と周りにネガティブな印象を植え付けてしまいます。
いつ自分に矛先が向かうかわからないので、周りの人たちは悪口を言う人を心から信頼しません。悪口をやめる方法は「自分を褒める」ことです。
悪口を言う人は、自己肯定感が低い人で、自己肯定感が高まれば、悪口は自然と減っていきます。
気に入らない相手をおとしめるのではなく、自分を高めることによって、相手と自分のギャップを埋めればいいのです。
自分のささいな成功を独り言でいいので、褒めてみることです。褒めるのが無理なら、ネガティブをポジティブに置き換えるだけでもいいでしょう。
自分の中でポジティブな言動を積み上げることで、自己肯定感が高まり、怒りや嫉妬、不充足感が満たされ、ネガティブな感情を抑えることができます。