投資家は人の損失回避性を理解し、「自分は損失を無意識に避けようとするものだ」と知ったうえで、より合理的な判断をします。
習慣的に損失を避けていると、実は少しリスクをとったほうが期待値が高いことも見逃してしまいます。
まずは自分を俯瞰して感情を一度横に置いて、事実を見ることが大切です。
例えば新しい洋服を買うとき、デザインが好きかどうか。素材や縫製の質は良いか。価格は適正か。自分の予算と合っているか。持っている服と合うかどうか。そのようなことを考えるかもしれません。
これらは服というモノを手に入れる消費的な思考です。
投資家思考では、モノを買った後の「目に見えないリターン」まで考えます。
この服を着たら、すごく気分が上がるかもしれない。
家族や友達が「素敵」と褒めてくれるかもしれない。
もっと出かけたり人に会ったりしたくなるかもしれない。
これらはすべて、将来の不確実なことです。そこに対してお金や、買いに行く時間や労力をかけるかどうか。
これが、投資家的にいうと「リスクとリターンのバランス」を考えることになります。 このリスクとリターンの評価は、あなたにしか決めることができません。
人によって価値観や期待するリターンはバラバラだからです。服でいえば、服を買うお金も迷う時間ももったいない、いつも決まった服をファストファッションで揃えれば十分、こう考える人もいるでしょう。
投資とは、「お金」「時間」「労力」「信用」という資産を投じて、自分のやりたいことをかなえるための手段です。
このように考えれば、あなたが普段、何気なく行っていることもまったく違った意味を持つようになります。
ただの買い物も、消費から投資へと意味づけが変わるのです。
「この株は買い時ですか?」 「今、不動産は買い時ですか?」 の答えは、買い時は「つねに今」です。
そして長い時間をかけてリターンを安定させるべきです。この「長期投資」は、資産形成の基本中の基本です。
これは株や投資信託だけでなく、人生のすべてに応用できる考え方だと思います。
将来のために何かをすべきだという不安や焦りがあっても、なかなか具体的な行動に移せない人は多いと思います。
しかし、「お金が貯まったら」「ゆっくり考えてから」「落ち着いたら」という先延ばしの思考でいると、時間はどんどん失われていき、決して取り戻すことはできません。
そして時間を失うほどに、短期で結果を出さなければならなくなり、リスクは大きくなります。
時間は漫然と流れていくものではなく、将来のために投じる資産であると捉えて、大事に使わなければなりません。
自分にどれだけの時間が残されているか、考えてみてください。
そして投資であれ転職であれ起業であれ、あなたが行動を起こすのはいつがベストでしょうか。こうしている間にも、時間は気づかぬうちに過ぎていきます。
人が行動を変えるには2つの段階があると思っています。
一つは、情報です。自分に適した手法や模範があれば、人は行動に移せます。
それでも躊躇してしまう人に必要なのは、思考の転換です。考え方を変えて、心から納得しない限り、人は変化を拒んでしまいます。
いくら投資の手法を学んだところで、100パーセント成功する方法など存在しませんから、わずかなリスクでも躊躇してしまう人の役には立たないでしょう。
人間は本能的に変化を恐れます。心理学で「自己保存」などといわれるように、失敗のリスクを恐れて自分を守ろうとするのは生物として自然なことです。
ですから今、変化を躊躇しているとしても、何も不思議なことではありません。
それでもなお、「変わりたい」「変えなければ」と思うのならば、変化への恐怖の一線を越える瞬間が、どこかで必要になります。
だから、リスクを正しく評価して、リスクをとってリターンを得る「投資家思考」を持ったほうが良いです。
いくら現状維持を望んだとしても、世の中は絶えず変化し続けています。仏教で「諸行無常」と表現される、この世の真理です。
生物学的にも、人の細胞はつねに生まれ変わり、変化し続けています。時計を見れば針はいつも前に進んでいます。
変化は本能的に怖いものですが、変化なしに人生が進むことはありえません。
当たり前のことなのです。であれば追い込まれてやむなく変化を強制されるより、自ら変化するリスクを選びとっていった方が人生楽しいと思います。