自分に都合の悪いことは無視する上司、失敗した時に言い訳ばかりする部下、噂や陰口が大好きな同僚、理不尽な要求を突き付けてくる顧客など周りには、必ずと言っていいほど、こうした人がいるのではないでしょうか。
厚生労働省が発表した「平成30年度 労働安全衛生調査(実態調査)」によると、職場のストレスは3つに分類できるとされています。
それは「仕事の量」「仕事の質」「人間関係」です。
3つのうち仕事の量や質で悩んでいる方は非常に稀です。
なぜなら、仕事の量や質は、周囲に相談することで配慮してもらいやすいため、解決できる場合が多いからです。
それに対し、解決が難しく、長期間苦しんでいる方が多いのが「人間関係」です。
退職理由のダントツ1位も「人間関係」です。
「仕事の悩みの8割は人間関係」とも言われるほどですが、なぜ職場の人間関係で悩んでいる方が多いのには2つの理由があります。
・相手がいることだから、簡単には性格などは変えられない
・人間関係が固定化している
人間関係は、仕事の量や質のように目に見えない分、上司に相談しても個人的な問題とみなされる場合がほとんどです。
そのため、「相手を変えようと努力したのですが……」といわれる人もいますが、ダイエットしよう!と決意してもすぐ揺らいでしまうことがあるように、そもそも人は簡単には変われません。
長年染みついた性格は、変えようと思っても苦痛が伴うため、ほぼ変えることはできません。性格を変えない方がエネルギーを使わず楽だからです。
周囲の協力を得ようにも、すべての人の要望を聞き入れていたら組織として成り立たないという会社の言い分もあり、「1人のために配慮することはできない」と結局スルーされてしまうことが少なくありません。
さらに解決を難しくしているのは、人間関係が固定化していることです。
社員数10名以下の企業はもちろん、比較的規模が大きい会社でも、部署内で人間関係が完結していて逃げ場がなく、苦手な人を避けられないのが現実です。
企業によっては、1度であれば部署異動の要望を聞き入れるという制度を設けていることもありますが、本人が希望する仕事ができるか、異動先の人間関係がうまくいくか分からないといったリスクもあります。
このような理由から、職場の人間関係によって悩み続ける人が多いのです。
ただ、人間関係のストレスは、「相手への誤解」から生まれているというケースも少なくありません。
例えば、「上司からいつも嫌味を言われる。自分は期待されていないんだ」と感じていても、上司からすれば「期待しているからこそ、敢えて厳しい言葉で発破をかけている」可能性もあります。
「知るは愛に通じる」と言うように、このような「誤解によるストレス」は相手の性格を理解することで軽減・解消される可能性があります。
例えば、「あの先輩は相手の気持ちを考えない人だから、言い方はいつもキツいけれど、悪意はないんだろうな」などと思えれば、ストレスをあまり感じずに済むかもしれません。
相手を知るために、どんなときにどんな行動を取り、どんな発言をしているのか、つぶさに観察するとその人の性格や特徴が見えてきます。
キツい言い方が誤解によるものではなく、その人の言い方の癖であれば、イライラやモヤモヤはなかなかぬぐえないものです。
また、周囲の関心を惹きたくて、わざとイヤな言い方をしたりイヤな態度を取ったりする人も、残念ながら一定数存在します。
このように、ちょっとしたやり取りでも疲弊してストレスを感じるような相手の場合は、物理的に距離を取るしかありません。
仕事で関わる相手だったとしても、できるだけ直接的なコミュニケーションを避ける方法を考えましょう。
仕事でやり取りする際には必ず誰かを挟むなど、第三者を交えてクッションにしたり、コミュニケーションのチャネルを変えたりすることで、イライラしたり傷ついたりする機会を多少なりとも減らせるはずです。