就職氷河期の問題から20年近くが経ち、もはや「時すでに遅し」の状況に陥っています。現在、35~49歳の非正社員は約600万人に膨らんでおり、もはや誰も解決の糸口を掴めないくらい、事態は深刻になる一方です。
この世代は正規雇用でない人々の割合が他の年齢層より高い比率となっています。
いったん絶望し、諦めてしまえば、どんな支援があったとしても届きにくくなります。
自民党政治の下で、製造業の日雇い派遣が解禁され、労働者派遣は今や全ての職種で期間の上限が3年になりました。
就職氷河期世代を置き去りにしたまま、業界団体のロビー活動も後押しして外国人労働の拡大が図られました。
「女性活躍」は女性に仕事と家事と子育て、介護の両立を押し付けるだけです。「働き方改革」や正社員と非正社員の「同一労働同一賃金」も、実態は伴っていません。
就職氷河期世代のライフステージに寄り添った支援をしてこなかったのが政治です。
政治家は票田になる業界団体の意見を聞いて、選挙に当選することが目的です。
コロナ禍では、バラマキのオンパレードで政治の機能不全が鮮明となり、国が作る制度が、現場を疲弊させています。
中でも政治が置き去りにしてきたのは就職氷河期世代であり、この世代への政策対応を見間違っていることが、中間層の没落、非正規雇用による低賃金、少子化、将来の年金不安、格差拡大、経済の低成長などの様々な問題が全てここにつながっていることです。
第一次安倍政権(2006年9月~2007年9月)が就職氷河期世代向けに「再チャレンジ」政策をとりまとめましたが、政権が短命に終わるとともに支援は下火になりました。
そこに2008年のリーマンショックが襲い、就職氷河期世代だけでない多くの人が職を失いました。 政府は就職氷河期世代の支援というよりは、支援事業を担う民間企業を支援したと言えます。
国は15~34歳の「フリーター」対策の目玉政策として2004~06年に「ジョブカフェ」のモデル事業を行っており、同モデル事業を行った経済産業省から委託を受けた企業が異常に高額な人件費を計上していました。
ジョブカフェ事業ではリクルート社が自社社員について1人日当たりで12万円、コーディネーターに同9万円、キャリアカウンセラーに同7万5000円、受付事務スタッフに同5万円という“日給”を計上していたことが分かっています。
このジョブカフェでは委託事業が何重にも再委託され、税金を垂れ流していたのです。
新型コロナウイルスの感染拡大の対策で問題になった多額の委託料が、電通に支払われているにもかかわらず、何重にも委託されている問題はなんら変わっていません。
就職支援事業が企業の食い物にされる一方で、就職氷河期世代の非正社員がやっと正社員になれるかもしれないというところで契約を打ち切られます。
そうしたことが繰り返され、いくら頑張っても報われずに絶望の淵に追いやられています。 正社員になったとしてもブラック職場で追い詰められ、心身を崩して社会復帰できないケースも少なくありません。
こうした状況が続いたことで、就職氷河期世代に絶望と諦めのムードが蔓延しています。
後10年もすれば就職氷河期世代も高齢者となり、年金・医療・介護に暗い影を落とすことは間違いありません