氷河期セミリタイア日記

就職氷河期世代ですが、資産運用でなんとかセミリタイアできました。残りの人生は、好きなことをしながら自由に生きていきます。

一律の金融所得増税で格差は広がる

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このまま財務省色の強い岸田政権が参議院選挙に勝てば、金融所得増税を含めた増税路線に踏み込むのは間違いないでしょう。

金融所得課税は欧米の最高税率と比較して低いですが、他国は所得に応じて低い税負担となっており、一律課税の日本は、特に金融所得の小さいものにとって世界でも屈指の重税国です。 

日本は所得税+復興税の15.315%に住民税5%を足した20.315%が金融所得(キャピタルゲイン)に課税されます。

一方で、米国の最高税率は、37%+州・地方政府税で、地域によって異なり、この37%という数字は保有期間が12カ月以下の短期トレードに向けて設定された税額で、一般的な適用は0%、15%、20%の3段階になっています。  

米国では、給与所得などと金融所得を一つにまとめ、金融所得が一定の金額を超えると金融所得税率が決まる段階課税制度を採用しています。

英国も給与所得等と金融所得のグループから算出する段階課税制を採用しており、その税率は10%と20%の二段階となっています。 

一方で、フランスとドイツは異なり、フランスの場合は所得税12.8%に社会保障関連税17.2%の30%。ドイツの場合は所得税25%に付加税1.375%が付いて26.375%となっています。

ただし、両者は金融所得について、分離課税か総合課税かを選択でき、合計の所得水準が低く、総合課税に切り替えた方が税率の点で得な場合は、累進課税方式である30%総合課税に切り替えられます。

 

 

つまり、米国・英国では所得が低い場合は金融所得税も低くなり、一律課税の日本よりも格差是正になっています。フランス・ドイツでは確かに名目の税率は日本よりも高いですが、金融所得が低い場合は総合課税に切り替えることで、実質的に段階課税と同じになります。  

一方で日本は、段階課税でもなければ総合課税にもできず、金融所得が小さいものほど負担が大きいという逆進性となっています。

所得が高くなるほど、資産運用が有利になるという制度設計になっています。つまり、一律で増税すると資産運用が不利になる一般庶民が増加します。

貯蓄から投資への移行を困難にさせるばかりか、高所得者は依然として資産運用が税金的に有利な状態が続くため、格差をむしろ助長します。

そもそも分離課税とは、退職金のような長年の活動で積み上げられた利益を1つのタイミングで獲得すると、総合課税下で税負担が高まるという弊害を回避する趣旨で設けられたものです。

金融所得も分離課税となっており、当初は10%の税率が今は20.315%、そして25%と上がってしまえばむしろ総合課税にした方が有利な人が増えます。

現政権のの掲げる分配に着目するのであれば、米国のように短期取引部分の税率を上げたり、段階課税によって超過累進課税にすることが必要になります。

それでも一律30%とするのであれば、納税者が所得から総合課税も選択するようにするべきです。

 

 

預金金利がないような現在、資産運用は金持ちだけのものではありません。このまま一律増税が実行されれば、「富裕層からの分配」ではなく「中間層以下からの回収」という悪影響が色濃く残ってしまいます。

資金力の多い富裕層が株式投資などの投資には有利であることは間違いなく、課税が一律である以上一般庶民と同じ負担になるわけですから、格差の解消にはならないでしょう。

投資は貧困層から抜け出せる一つの手段ですので、これを阻害するようなことはやめたほうがよいです。格差解消の一役を担っています。

この増税によって格差を固定し、人生一発逆転できないようになると思われます。貯蓄から投資へのスローガンはどこに行くのか、一般庶民にはNISAやidecoの小額投資で我慢しろということでしょうか。

とはいっても、貯蓄ばかりする国民ですから、そっち側の人からしたら金融所得増税は支持しますし、夏の参議院選挙で勝った場合は、一気に増税路線を突っ走るでしょう。増税の対象は少数派の方から取る方が取りやすいのです。

少数派=悪者扱いですから。株式投資をやっている人は日本では少ないので、株で儲けることが悪者であるというレッテルを張っているのです。給料の一部でリスクを取って投資をしている人はやる気をなくしますし、株が下がって不景気になったりしたら、失業者が増えますます格差は広がります。

 

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