日本は「転職しない」「辞めない」「クビにならない」という、基本的に雇用の流動性が低い国です。
転職してもステップアップできるケースが少ないことも、流動性を下げる一因になっています。
雇用の流動性がないと競争力が生まれませんので、やっている仕事に高い付加価値を生み出さなくなります。
1990年から2020年の30年間で、アメリカは約3.5倍、中国は約37倍、韓国は約5.8倍成長しているのに対し、日本は約1.5倍に留まります。
1990年から日本の経済はほとんど成長していないため、平均賃金も伸びていません。
また、終身雇用と年功序列賃金が続いていることも、日本の年収が上がらない理由と言われています。
経済が低成長にも関わらず雇用維持をしなくてはならないため、人件費を削減できません。ベテラン社員の年収を削減しづらいため、優秀な若手の年収アップも抑えられます。
このように、終身雇用と年功序列賃金により人件費削減や調整が難しい企業が多いことから、日本人の年収が上がらないとも考えられます。
仲介手数料を取りまくる中抜き産業が多く存在する日本では当面無理でしょう。給料を上げたいなら、付加価値を生み出す仕事をするしかありません。
さらに安定志向の組織では、労働者たちの和が最も重要になるので和を乱すことが最も嫌われます。
前例踏襲で、波風を立てず、関係部署の顔をつぶさず、上司の顔を立て、無難な仕事をしていく人が評価されます。
つまり、仕事のポイントは、根回しと忖度だけです。
こんな根回しと忖度の仕事を10年、20年も続けたら、働く人の思考は停止します。
何が正しいかではなく、何が関係各署の顔を立て組織内稟議が通りそうか、上司の気持ちを忖度できるかどうかが、組織内政治に勝ち抜き、出世できるかどうかの分かれ道になります。
この人たちからしたら成長戦略などどうでもよく現状維持でよいのです。成長なしに給料が上がることはありません。
年収が上がらない主な理由は、経済の低成長や雇用維持の優先です。これら2つの改善は簡単ではないため、今後もしばらくは日本人の年収は上がらないことが予想されます。
自分に市場価値があれば、上司の機嫌を損ねることを心配する必要もありません。
今の組織で自分の価値を正当に評価してくれないと思うなら、思い切って自分の価値を正当に評価してくれるところに羽ばたいていくか独立することも選択肢の一つです。
しがみつき人生ほど他人にコントロールされて生きることになり、無駄に一生を過ごすだけです。